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2020-09-20

【アメフト】BIG10が今秋のリーグ戦開催へ転換 選手・関係者に連日抗原検査など前提に

 米カレッジフットボール有力カンファレンスのBIG10(ビッグテン)が、今秋のリーグ戦へ復帰することを決めた。現地9月19日には、10月24日開幕、12月19日カンファレンス決勝戦となる日程を発表した。全米で拡大する新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で、BIG10は、8月上旬、今秋のリーグ戦開催を断念し、来春へ延期することを発表していた。今回、選手・関係者への毎日の抗原検査、練習/試合の有無を検査データに基づいて決定することなどを前提に、方針を転換した。

 新たに発表された日程では、10月24日に開幕し、各校がカンファレンス内だけの8試合を戦う。14校が所属するBIG10は、7チームずつで東西2ブロックに分かれており、ブロック内が総当たり戦で6試合、ブロック外で2試合となる。12月12日にリーグ戦を終え、東西の1位校が、12月19日にカンファレンスチャンピオンシップで対戦する。

 開幕週では、前年カンファレンス王者のオハイオ州立大はネブラスカ大と、ミシガン大は、ミネソタ大と、勝利トロフィー「リトルブラウンジョグ」を賭けて104回目の対戦となる。
 オハイオ州立大とミシガン大の伝統のライバル対決は12月12日となっている。

 BIG10は、9月16日に、今回の競技復帰の前提となるCOVID-19 対策を発表した。ケビン・ウォーレンコミッショナーの組織したワーキンググループが、医療プロトコールを提案。加盟14校の学長・理事長会で採択された。プロトコールの内容は以下の通り。

◎学生選手、コーチ、トレーナー、その他すべての練習や試合でフィールドに出ている個人に、毎日、抗原検査を受けることを義務付ける。

◎COVID-19陽性となった選手は全員、バイオマーカー、心電図、心エコー図、心臓MRIを含む包括的な心臓検査を義務付ける。選手が試合に復帰できるのは、COVID-19陽性と診断されてから最短で21日後となる。

◎チーム活動の制限には、過去1週間のチーム陽性率と母集団陽性率の2つの指標を用いる。

・チーム陽性率(陽性検査数を総検査数で割ったもの)。
0~2%:緑、2~5%:オレンジ、5%以上:赤
・母集団陽性率(陽性者の数をリスクのある総人口で割ったもの)。
0~3.5%:緑、3.5~7.5%:オレンジ、7.5%以上:赤

二つの指標が 緑・緑もしくは緑・オレンジであれば、通常の練習や試合が可能。
オレンジ・オレンジもしくはオレンジ・赤であれば、練習とミーティングのスケジュールを変更。試合が可能かどうかを検討する。
赤・赤であれば、最低7日間は通常の練習や試合は中止となる。

◎すべての検査は9月30日に開始される。

トランプ大統領が介入、9月初頭に転換の可能性を示唆

 BIG10は、8月11日に今秋のリーグ戦を来春に順延することを発表した。その後、9月1日に、ウォーレンコミッショナーが、カレッジフットボールの今秋実施を求め続けているドナルド・トランプ大統領と「生産的な」電話会談を行った。

 その発表の際に、BIG10は、競技復帰のためのワーキンググループが、「学生選手が適切な時期に、可能な限り安全で健康的な方法で、自分たちが愛するスポーツのプレーに戻れるように、尽力している」とコメントを付加し、8月の決定を転換させる可能性を示唆していた。

 有力5大カンファレンス「パワー5」の内、SEC(サウス・イースタン・カンファレンス)、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)、BIG12(ビッグトゥエルブ)の3カンファレンスは、今秋のリーグ戦実施を決定しており、ACCとBIG12はすでに開幕している。

 このため、BIG10と同じタイミングで、今秋のリーグ戦を来春に順延することを発表したPAC12を除く4大カンファレンスが今秋のリーグ戦を戦うことになる。全米王者を決めるCFP(カレッジフットボールプレイオフ)は、ランキングに基づいて4チームを選出し、年明けのボウルゲーム2試合の中から持ち回りで選んで準決勝とする仕組みだ。今回発表になったBIG10の日程は、かなりタイトではあるものの、CFP参加は物理的に可能だ。今回のBIG10の競技復帰で、CFPも実施へ向け前進となりそうだ。

 パワー5の中で取り残される形となった、PAC12の対応は、まだ明らかになっていない。

 他方で、すでに開幕したカンファレンスでは、COVID-19のために試合の中止・延期が相次いでいる。第3週の現地9月19日は、ベイラー大学対ヒューストン大学、フロリダアトランティック大学対ジョージアサウザン大学の試合が延期となった。米CBSの電子版によると、中止・延期となったのは、開幕から3週間で16試合に上るという。

 米国のCOVID-19の感染状況は、9月19日現在で、陽性者数が670万人、死者は19万8千人を超えている(米国疾病予防管理センター調べ)。( 小座野容斉)

発表された、2020年のBIG10のスケジュール

今季も優勝候補の筆頭となるオハイオ州立大=photo by Getty Images

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