close

2023-12-28

【フィギュアスケート】 フィギュアスケート・マガジンの読者の皆さんへ

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • line

フィギュアスケート・マガジンの読者の皆さんへ

全ての画像を見る
フィギュアスケート・マガジンの読者の皆さん、新年あけましておめでとうございますって、まだ年の瀬でしたね。ああ、頭が混乱して…というのは冗談です。今年は夏が異様な暑さでしたが(夏が半年もあった!)ちゃんとこうして寒くなって…でも、来年も元気でいきましょうね。

 さて、フィギュアスケート・マガジンはそろそろ発売しないの? という声があって、実際に11月に取材をして1月には…という計画もあったが、先延ばしになった。昨年夏に私は病気をしてしまった影響もある。本当にごめんなさいね。でも、たぶんみんながワクワクする季節に新しいフィギュアスケート・マガジンが出せるんじゃないかなって気がするので、それまで楽しみに待っていてください。



 というわけで、今回は2019年12月、イタリアのトリノで行われたクリスマス・マーケットの会場よりお送りします。このときはGPファイナルの取材に行ったんだけど、もう4年も経つんだなあ。

 写真担当はベースボール・マガジン社の相棒・毛受亮介。12月7日に毛受ノンノが誕生日を迎えて、街の様子を撮りに行った後に、お祝いにパスタを食べに行ったんだっけ。どうせだったら、ミラノ風味の「カツレツ」か「Tボーンステーキ」を食べたらよかったんだけど、どういうわけかパスタだった。そうそう、トリノはワインがおいしかったんだよなあ。

 読者の皆さんも、実際に大会を見に行ったり、あるいはテレビ中継を通して、「私だけの記念日」あるいは「家族の特別な日」が思い出になっている人も多いだろう。「あの大会の時はちょうど旦那が課長になって、おみやげに記念のYシャツを買ったんだ」とか「あの大会は大会新をマークしたので、奮発して100グラム1500円の牛肉を買って、すき焼きでお祝いした」とか。選手とあなたとは直接は何のゆかりもないのに、でも、どういうわけか忘れられない「晴れの日」。それは長くフィギュアスケートを見てきた人、長く選手のファンをやってきた人にとって、ささやかな喜びの日だ。そんな記憶を、いつまでも大切にしてほしい。

 

ネットで書き込む「噂」って、なんなんだろう。フィギュアスケートを応援している人は今年、そんな感想を持った人もいるだろう。

ネットにまつわる話をすると、去年まで僕は、アイスホッケーの記事を公開していた。ホッケーをやっている学生やトップリーグの選手が、「ホッケーをやっていてよかったな」と思えるサイトにしたかったのだ。文章を読むのは無料で、サイトの運営、取材もすべて自分持ち。自分の文章を読んで、つまんないんだとしたら「僕の文章力がない」ってことで一向に構わないんだけど、この2人だけは違っていた。僕と取材対象者を平気で中傷する言葉を書くのだ。

フィギュアスケート、野球、サッカー、格闘技、陸上。いろんな競技を担当して、時には厳しい言葉を頂戴してきたが、この2人は人間として当たり前の常識を持ち得ていなかった。アイスホッケーで、お金を儲けているとでも思ったのだろうか。あるいは、マイナー競技なんだから、読んでやっているだけでも感謝しろと? このサイトだって、僕は1円ももらってない。他のファンや選手に迷惑をかけているだなんて、この2人には想像できないのだろう。僕は、警察に相談しているタイミングで病気になってしまった。「俺の体を返せ」。そう言ったところで、この2人はきっと喜んでいるんだろう。



悪い意味で人の人生を変えてしまう人というのは、本当に残念だけど、そして本当に知り合いたくもないけど、実際にいる。それに対抗できるものがあるとすれば、競技を応援すること、そして選手を愛すること、これ以上のものはないと思う。

「ファンである」ことを大事にする。そして「ファンである」ことを誇りにする。今は黙っていることがつらくて、悔しいけど、選手もまた、わかっているはずだ。そして、その日が来たら思い切り騒いで、興奮して、その選手の「ファンである」ことを喜ぼう。そのためにも今は我慢だ。今は我慢、我慢だよ。

 

 僕は、スケーターのこともそうだけど、それよりもファンのことが心配で、愛おしくてたまらない。だから2018年以来、このサイトにメッセージを託してみた。

僕はこうして、ファンの人に思いを届ける機会を与えてもらった。百パーセント感謝しているし、僕はフィギュアスケートのファンに、いや、すべてのスポーツのファンに、できるだけのことをしたいと思っている。幸せになってほしいと、本気で願っている。なぜかはわからないけど、僕は死ぬことが怖くなくなった。好きな道で、ひたすら好きなものに囲まれて、ただ生きていたい。

フィギュアスケート・マガジンの読者の皆さん、今年も「シーズンハイライト」と「シーズンレビュー」でお世話になりました。病気で体が不自由になり、もう本は出せないのかなと思っていたのに、皆さんのおかげで、なんとか仕事をすることができました。

 また、元気で会えることを楽しみに。春はきっと明日を超えて、いつか届く…それを信じて。

山口真一

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事