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2020-09-11

【NFL】2020年シーズンが開幕 王者チーフス がテキサンズに快勝 ルーキーRB大活躍

 米プロフットボールのNFLは、現地9月10日、2020年のシーズンが開幕した。スーパーボウル王者のカンザスシティ・チーフスが本拠地のアローヘッドスタジアム(ミズーリ州カンザスシティ)にヒューストン・テキサンズを迎えた開幕戦で、チーフスが、QBパトリック・マホームズやルーキーRBクライド・エドワーズヒレアーの活躍で、テキサンズに34-20で快勝した。新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、観客数は1万7000人に制限された。

 NFL 第1週
カンザスシティ・チーフス○34-20●ヒューストン・テキサンズ
(2020年9月10日、アローヘッドスタジアム)

 地力に勝るチーフスが着々と得点を重ね快勝した。第1クオーター、テキサンズは今季カーディナルスから移籍のRBデビッド・ジョンソンのタッチダウン(TD)ランで先制したが、第2クオーター、チーフスはQBマホームズがTEトラビス・ケルシーにTDパスをヒットし、同点とした。チーフスは次のオフェンスでもマホームズがWRサミー・ワトキンスにTDパスを決め逆転。前半終了間際には、テキサンズのフィールドゴール(FG)トライで、激しいプレッシャーをかけて失敗を誘うと、逆に、残り25秒からのオフェンスでボールを進めてKハリソン・バトカーのFGに結びつけ、17-7で前半を終えた。
 チーフスは、後半最初のオフェンスで、この日がNFLデビューとなった、RBエドワーズヒレアーの27ヤードTDランでリードを広げた。4クオーターにはWRタイリーク・ヒルに、マホームズがこの試合3本目のTDパスをヒットして、試合の大勢を決めた。
 テキサンズは、QBデショーン・ワトソンが、チーフスディフェンスのプレッシャーに苦しみ、更に味方のレシーバーにも落球が目立つ苦しい展開。第4クオーターに2TDを返したが、反撃はここまでだった。

パス211ヤード3TDと、チーフスの勝利に貢献したQBマホームズ=2020年9月20日、photo by Getty Images

連覇目指すチーフスに新たな武器 
171センチのRBエドワーズヒレアーが躍動

 オフシーズンに、10年契約の史上最高年俸QBとなったマホームズと、4年契約ながら単年ではマホームズに次ぐ2番目の高給となったワトソン。開幕カードに選ばれた、2017年ドラフト1巡指名同期の2人の対決は、マホームズの完勝で終わった。

 序盤からオフェンスが好調だったのはチーフス。第1クオーター「幻の先制TD」となったが、マホームズがWRデマーカス・ロビンソンに投じた36ヤードのパスは、今季への手ごたえとなったはずだ。テキサンズも出だしは良かった。ワトソンがショートパスをつなげ、RBジョンソンの19ヤードランでTDを決めた。

 しかし、第2クオーター以降、両チームのオフェンスには差がついた。チーフスはTEケルシー、WRサミー・ワトキンス、RBエドワーズヒレアーが次々にファーストダウンを奪い、テキサンズディフェンスをほんろうした。ビッグプレーメーカーの快速WRヒルが目立たないほどだった。

 特に、エドワーズヒレアーは、OLのブロックを巧みに生かし、インサイドで次々にゲインを重ねた。身長171センチと、NFL選手としては極めて小柄で、目を見張るようなスピードもないが、強靭な足腰と、低い姿勢からの力強いランに、テキサンズディフェンスは手を焼いた。ラン25回138ヤード1TDと、プロデビュー戦から大車輪の活躍で、快勝の原動力となった。ランニングゲームを支配したチーフスは、タイム・オブ・ポゼッションで9分34秒も上回った。

 エドワーズヒレアーはルイジアナ州立大学(LSU)出身で、今年4月のドラフトで1巡32位でチーフスに指名され入団した。2019年シーズンのカレッジフットボールで全米王者となったLSUは、QBジョー・バロウ(ベンガルズに1巡1位指名で入団)に注目が集まったが、ランで1414ヤード16TD、1回平均6.6ヤードを記録したエドワーズヒレアーも、NFLでエースRBが務まる素材として、関係者の評価は高かった。その実力派RBを1巡の最後に指名できたチーフスには運もあった。

 チーフスは、マホームズを中心とした高い攻撃力で、昨シーズン、スーパーボウルを制覇したものの、ラン攻撃はリーグ23位だった。500ヤード以上を走ったRBは1人もおらず、チーム2番目の465ヤードを走ったルショーン・マッコイはバッカニアーズへ移籍した。大黒柱マホームズの負担を減らすためにも、新しいRBの台頭が待たれていた。

 試合後のインタビューでマホームズから「我々のオフェンスに、新たな別の武器が加わった」と称賛されたエドワーズヒレアー。今のチーフスに強力なランオフェンスが確立されれば、鬼に金棒だ。2004年シーズンのペイトリオッツ以来、16年ぶりのスーパーボウル連覇を狙うチーフスにとって、価値ある1勝となった。

第3クオーター、チーフスRBエドワーズヒレアーが27ヤードを走ってTD。後方でTEケルシーも喜びのポーズを決めた。この日がNFLデビューのエドワーズヒレアーはラン138ヤードの大活躍だった=2020年9月20日、photo by Getty Images

クロエ&ハリーを起用の国歌はバーチャル 
チーフスDEオカフォーは膝をつき抗議

 開幕戦の国歌独唱の大役を担ったのは、若手姉妹デュオのクロエ&ハリー(Chloe x Halle)。22歳の姉クロエ・ベイリーと、20歳の妹ハリー・ベイリーが、無人のスタンドで「星条旗」を高らかに歌い上げ、バーチャルで場内に流された。
 
 2人は、youtubeでカバー曲をアップする活動を行っていたところ、ビヨンセに見いだされデビューした。デビューから1年後の2017年4月に行われたNFLドラフトで、米国国歌を熱唱したが、この時1巡10位で指名されたのがマホームズ、同12位で指名されたのがワトソンだった。

 2人の姉妹は、全米で続く黒人差別反対運動「Black Lives Matter (BLM) 」を支持するTシャツを着用。妹のハリーは、ジョージ・フロイドさん(5月にミネソタ州で警察官の拘束で死亡)が、姉のクロエはブレナ・テイラーさん(3月にケンタッキー州の自宅で警察官の銃撃を受けて死亡)がプリントされたTシャツ姿だった。

Chloe x Halle perform National Anthem ahead of 2020 NFL Kickoff Game

www.youtube.com

 チーフスの選手たちは、多くが腕を組んで連帯の意志を表示。DEアレックス・オカフォーは、フィールドに膝をついて右の拳を突き上げ、人種差別に抗議した。ヒューストン・テキサンズの選手・コーチ・スタッフは、フィールドに姿を現さなかった。

 試合直前には、両チームの選手やコーチがフィールドの中央で混じりあって腕を組んで並び、「End Racism(人種差別主義を終わらせよう)」という団結の意思表示をした。

第3クオーター、TDを奪ったチーフスRBエドワーズヒレアーを祝福するOL陣。171センチと小柄なエドワーズヒレアーはOLの間では子供のように見える=2020年9月20日、photo by Getty Images

チーフスディフェンスのプレッシャーに苦しんだテキサンズQBワトソン。ドラフト同期生のライバル対決で完敗した=2020年9月20日、photo by Getty Images

新型コロナ感染症の予防のため、観客数は定員の2割強、1万7000人にとどまった=2020年9月20日、photo by Getty Images

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