JARTAの中野崇代表がパフォーマンスを引き上げる身体操作を指導する。新型コロナウイルスの感染拡大によって外で満足にトレーニングできていない皆さんへ。自宅でできるバランスを高めるトレーニングを紹介。
出典:サッカークリニック2020年5月号
文/中野崇 写真/中野崇、Getty Images
ボールの中心を捉える能力を磨き、サッカーにおけるバランス能力の向上につなげるために、私が最適と考えるのはバランスボールトレーニングです。
ただ、一般的なバランスボールトレーニングは「止まるためのバランス」に向かうことが多いので、「動き続けるためのバランス」を獲得するための方法を用いる必要があります。そのためには、以下のようなバランスボールの特徴を踏まえながら、動きを理解することが重要です。
球体です。サッカーボールと同じで中は空洞です。そして、球体なので必ず物理的な中心が存在します。
バランスボールトレーニングでは足だけでなく、全身で中心を捉えることが要求されます。ボールの中心と自分の動きの関係性を密に感じとるためです。加えて、中心を捉える感覚を磨くには、身体のあらゆる場所で行なうほうが上達は早くなります。テクニックではなく、感覚の向上と全身操作の最適化が目的だからです。
かなり弾力があるラバー素材です(かつ球体)。そのため自分の動きに対して、しっかりフィードバックがあります。中心をちゃんと捉えておかないと、ブレという形で分かりやすく反応を返してくるのです。中心を捉える能力を鍛えるためには、この点を最大限に利用する必要があります(※注=このトレーニングを行なうときは空気をしっかり入れ、できるだけ球体を保持できる空気圧にしておきます)。
この系統のトレーニングは、筋力がつけばできるようになる類のものではなく、脳や神経が深く関与します。それゆえ、なるべく若い年齢の時期に開始したほうがいいでしょう。
サッカーにおけるバランス向上のトレーニングメニュー(※バランスボールが必要です)
動き続けるバランスを保ち、取り戻す
「サッカーにおけるバランス能力を高めるためのバランスボールトレーニング『ターンオーバー』を紹介します。少し難しいかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください。半身になるまでのハーフラウンドと、1回転するフルラウンドがあります」(中野)
進め方:(1)バランスボールの中心に背中を乗せてスタートポジションとする。ここで安定したポジションをつくるのがポイント。両脚は写真のように開いておく。(2)上半身を横にひねる。身体が回転してボールに当たる位置が変わっても、ボールの中心を押し続ける。両足の位置は動かさず、上半身が横向きになるところまで行ったら引き返す。スタートポジションに戻ったら逆方向へも行なう
進め方:(1)スタートポジションから、そのままボールを横に転がすようにして移動。(2)(3)胸でボールを押さえる姿勢(うつ伏せ)まで回転する。足はボールの動きに合わせてクロスステップ(写真では回転しながら左足を抜き、軸足になっている右足の下を通して逆側まで動かしている)。ここで一度動きを止め、安定したポジションをつくる。(4)~(6)逆に回転しながら仰向けになり、スタートポジションに戻る
Profile :中野崇(なかの・たかし)/スポーツトレーナー協会 JARTA 代表。プロ野球の選手、Jリーガー、フットサル日本代表、プロサーファーなど、多種目のプロアスリートのトレーニング指導を担う。ブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチ。イタリアの『APFトレーナー協会』講師。イタリアのプロラグビー『FiammeOro』のコーチ。2018シーズンは鹿児島ユナイテッドFCのファンクショナルコーチ。主なクライアントには長谷川竜也、皆本晃、鮫島彩、熊谷紗希、永里優季などがいる
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