中央学院大の有馬圭哉は主将として自ら行動を示し、4年生が引っ張るチームをつくり上げてきた。目指すはチーム史上最長の6年連続シード権獲得。「そつなく、しぶとく」を胸に、最後の箱根に臨む。
中央学大の主将・有馬圭哉(4年)は今夏、原因不明の不調に陥った。
「なぜ走れないのか、自分でも分からなかった」
1年生のときに楽にこなせていた練習さえも、やり切ることができなかったという。ただ、駅伝シーズンを迎え、各自ジョグの期間を1週間ほど与えられると、急激に調子が上がってきた。
上写真=全日本大学駅伝6区で好走後、ハーフでも自己ベストに近い記録を出した有馬
撮影/中野英聡(陸上競技マガジン)
三大駅伝初戦の出雲駅伝を回避して、次の全日本大学駅伝から登場。6区で3人を抜く意地を見せたが、わずか10秒前にスタートした帝京大も同じく3つ順位を上げていて、有馬はその差を1秒縮めただけだった。中央学大は最終的に10位。「帝京が8位でシード権を取ったということは、自分が帝京より少し前か、同じくらいでつないでいたら、流れが変わっていたのではないか、と悔いがあります」と、シードを逃した責任を背負い込んだ。
しかし、2週間後の上尾シティハーフマラソンでは、自己記録に2秒と迫る1時間02分54秒の好走。川崎勇二監督も「大会前には、そこまで走れるような練習はできていませんでしたが、さすがはキャプテンです」と、有馬の存在感を認めている。
当初は、自身が主将になるとは思っていなかった。戸惑いはあったが、「部員に対して何かを伝えたときに不満が出ないよう、まずは自分がしっかりしよう」と決意し、行動で範を示してきた。そんな有馬の姿を見て、他の4年生たちにも変化が表れた。夏を越えると、一人ひとりに責任感が増し、意見を声に出して発言する選手が多くなったという。
有馬が1年生のとき、中央学大は出雲4位、全日本5位、箱根6位と三大駅伝すべてで好成績を残したが、それは4年生に力があったからだと有馬は見ている。確かに当時の主将・村上優輝(現・コモディイイダ)は、歴代の選手のなかでも川崎監督がリーダーシップを高く評価する1人だ。有馬もあのときのように、4年生に引っ張られて全体の士気が高まるチームを目指している。
個人としては2年時が8区10位、前回が4区6位。有馬は「最後の箱根なので、後悔のないように。往路でも復路でも、任された区間を全うするのみです」と話すが、川崎監督は「イーブンペースで押して行けるので、できれば9区か10区に」と、終盤の勝負どころを託したい考えだ。
チーム史上最長の6年連続シード権獲得へ、主将のプレッシャーは計り知れないが、有馬はチームカラーの「そつなく、しぶとく」を胸に、目標の総合6位以内へと導く。
文/石井安里
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