各地区の秋季大会が終わり、来春のセンバツ出場有力校もそろった。春の大会を迎える前に今年の夏の甲子園の傾向を今一度読み解き、来季の対策に活用してもらいたい。
記事では、今年の夏の甲子園大会で背番号を着けてベンチ入りした56チーム、1008人のプロフィルから、チームの傾向や選手の体格について調査した。
※ベースボール・マガジン社発行の週刊ベースボール8月30日号増刊「高校野球マガジンvol.11 第100回全国高等学校野球選手権記念大会展望号」に掲載した選手のプロフィルを元に、大会の事前登録選手について調査しました。大会前の登録変更などで実際にベンチ入りした選手との差異が生じた場合があります。
※写真上=今夏の甲子園は100回を記念し過去最多56校が出場
写真◎ベースボール・マガジン社
地方大会の出場チームは昨年の3839から58減の3781。第100回の記念大会のため、歴代最多の56校が甲子園に出場した。そのうち公立は8校(県立6、市立2)で、史上最少だった昨年と同数。出場校に占める割合では、さらに減ったと言える。
公立で最も上位に進出したのは金足農(秋田)で準優勝。攻撃ではバントを駆使した戦術で得点を重ね、エース・吉田輝星を中心とした守備で勝利を重ねる戦いぶりで5つの白星を挙げた。そのほかの公立校では高知商(高知)と高岡商(富山)が2勝を挙げてベスト16入りを果たした。
初出場校も昨年と同じ6校で、春夏通じて初めて出場の沖学園(南福岡)が初戦の北照(南北海道)戦に勝利。白山(三重)、折尾愛真(北福岡)は初戦で敗れ、甲子園初勝利は挙げられなかった。春は経験済みの奈良大付(奈良)は1回戦の羽黒(山形)戦で甲子園初勝利。明石商(西兵庫)、中央学院(西千葉)は夏初勝利を持ち越した。
連続出場は聖光学院(福島)の12年が最長。作新学院(栃木)が8年、花咲徳栄(北埼玉)が4年で続き、3年連続が4校、2年連続が11校あった。逆に長いブランクを経て出場に至った例では、東海大星翔(熊本)が35年ぶり2回目、藤蔭(大分)が28年ぶり2回目、愛産大三河(東愛知)が22年ぶり2回目。
出場回数では34回の龍谷大平安(京都)が筆頭。初戦の鳥取城北(鳥取)戦の勝利で通算100勝を挙げると、次戦で八戸学院光星(青森)にも勝利し、白星を101にまで積み上げた。また、仙台育英(27回、宮城)、高知商(23回)、智弁和歌山(23回、和歌山)、広陵(23回、広島)が20回超え。2ケタを数えるチームも18校あった。
昨年13校だった部員数が100人を超える出場校は20校に増え、花咲徳栄の163人が最多。佐久長聖(長野)が160人で続く。公立では明石商の129人が最も多かった。最少は智弁和歌山の34人で、鳴門(徳島)が45人、丸亀城西(香川)が46人、折尾愛真が47人、大垣日大(岐阜)が49人、金足農が50人で、これらは1学年平均で15人強の計算になる。
ちなみに高野連による今年度の部員数調査によると、1校平均の部員数は38.6人。
学校の所在都道府県外の中学出身者のベンチ入りがゼロで出場を果たしたのは昨年より4校多い11校で、丸亀城西、金足農、高岡商、明石商の公立4校が含まれる。準Vの金足農は天王中で県大会4強入りし、好投手と評判の高かった吉田が、父・正樹さんが金足農OBの縁もあり、同校進学を希望。中学の軟式での活動が一区切りしたのち、硬式球で練習するために秋田北シニアで活動している最中に、その情報に触れたチームメートが集まった背景もあった。
ベンチ入り選手に占める1、2年生の割合が5割以上だったのは7チームで、最多の広陵は9人の2年生と1人の1年生がベンチ入り。1年生のベンチ入りは横浜(南神奈川)と中央学院の4人が最多だった。
地方大会で起用された投手を見ていくと、最も多くの投手を起用したのが星稜(石川)で7人が登板。エースの最もイニング数が多かった奥川恭伸(2年)でも15イニング、続く竹谷理央(3年)が10イニングと分散。その上で5試合37イニングを無失点で石川大会を制し、甲子園でも奥川、竹谷に加えて、山口来聖(3年)、寺沢孝多(2年)、佐藤海心(3年)、寺西成騎(1年)と6投手が登板した。
優勝した大阪桐蔭(北大阪)は柿木蓮(3年)、根尾昂(3年)、横川凱(3年)とエース級が3人そろう理想的な投手陣を形成し、1回戦と準決勝、決勝は柿木、2回戦と準々決勝は根尾、3回戦は横川が先発。イニング数でも柿木が36、根尾が13、横川が5と分散した。
一方、甲子園で2試合以上を戦ったチームで1人の投手しか投げなかったチームが6チーム、先発投手が完投して初戦敗退したチームが11チーム。
準優勝した金足農のエース・吉田は秋田大会5試合、甲子園でも準決勝までの5試合をすべて完投。決勝の大阪桐蔭戦では序盤から打ち込まれて5回でマウンドを降りることになったが、この夏、1517球を投じた。
勝ち上がるほどに日程が過密になるトーナメントでは選手層を整えることが難しいチームほど課題が大きい。
また、前回大会で史上最多の65本が飛び交った本塁打は試合数が55まで増えたにもかかわらず49本に減少。それでも優勝した大阪桐蔭は6試合で8本塁打。根尾と藤原恭大が3本ずつ、石川瑞貴、宮﨑仁斗が1本ずつ放った。
体づくりの指標でよく使用される体重/(身長-100)でチーム平均が1を上回ったのは10チーム。身長171.94㌢で体重74.00㌔の折尾愛真が最も数値が高かった。
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