日本バドミントンはリオ五輪で初の金メダルを獲得するなど躍進が著しい。髙橋礼華/松友美佐紀が金メダルを獲得した女子ダブルス、奥原希望が銅メダルを獲得した女子シングルス、また桃田賢斗が現在世界1位に君臨する男子シングルス、世界ランクのトップ5に2組が食い込む男子ダブルス。充実の戦力と言っていいだろう。一方、長らく日本の弱点とされてきたのがミックスダブルスである。だが、そんな日本の弱点とされてきた種目で、東京オリンピックのメダル獲得の期待が高まっているのが、渡辺勇大/東野有紗だ。2018年には歴史と伝統を誇る全英オープンで優勝、昨年は世界選手権で銅メダルを獲得している。
その渡辺/東野の前に立ちはだかるライバルとなりそうなのが、中国の鄭思維/黄雅瓊、王懿律/黄東萍の2強、そして世界選手権で銀メダルを獲得しているタイのデチャポル/サプシリーだろう。
2019年の世界選手権のミックスダブルスの表彰台。デチャポル(左上)/サプシリー(左下)は銀メダル獲得。日本の渡辺勇大(右上より2人目)/東野有紗(右下)は銅メダルバドミントン・マガジン11月号では、タイのダブルスプレーヤー、サプシリー・タエラッタナチャイをクローズアップ。その多彩なプレーを支えるキャリアについて、そして彼女の人柄についてサプシリーと交流の深いジャーナリストに寄稿してもらった。
ミックスダブルスでは時に女子プレーヤーの力が勝負を左右すると言われるが、これはミックスでは女子同士の打ち合い、またはパワーとスピードで勝る男子選手が女子をねらうことが多くなるからだ。そういった部分を考慮すると、ミックスダブルスをプレーする女子選手には、男子の打つ球にも負けない勇気や果敢さ、気持ちの強さが求められる。
サプシリーの武器は、果敢にネット前に攻め込む積極性と、相手男子選手のアタックにもひるまずにレシーブするディフェンス力。ダブルスプレーヤーが必要とする能力を備えるサプシリーだが、実は国際大会に出場し始めた当初、そのキャリアはシングルスからスタートした。
リオ五輪シングルスで金メダリストを獲得したキャロリーナ・マリーン(スペイン)らと同世代。ジュニア時代はその中で頂点に立つなど、ひと際存在感を放っていた。
彼女がダブルスに転向するに至った経緯、そしてパートナーとの成長の軌跡はぜひ本誌をご覧になっていただければと思うが、彼女のキャリアから多くの選手が学べるのは、シングルスで培ったことが、ダブルスやミックスダブルスでも間違いなく生きるということだろう。
記事からは、「他の国の選手と仲よくなることはとてもいいこと」と話す、28歳の人柄も伝わってくる。厳しい試合が続くワールドツアーでは、そうした交流や友人関係をつくる時間を持つことも、長くキャリアを続けていくためには必要になってくるのかもしれない。
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文/バドミントン・マガジン編集部
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