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2020-11-22

【ボクシング】内藤律樹がTKOでV4/木村vs.仲里のホープ対決はドロー

内藤(右)の左が今野を捉える

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 21日、東京・後楽園ホールで行われた東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオン内藤律樹(ないとう・りっき、29歳=E&Jカシアス)が、挑戦者4位の今野裕介(31歳=角海老宝石)を9回終了TKOで下し、同王座の4度目の防衛に成功した。

 初回に左ショートをカウンター気味に当てて今野をグラつかせた。折々で右ボディフックを再三叩き込んだ。しかし、序盤3ラウンド、内藤は明らかに動きが少なく、リズムに乗り切れていないように見えた。
「足を使えば、今野さんがどんどん追い込んでくる。それでリズムに乗せたくなかった」(内藤)

 軽快なフットワーク、滑らかなボディワーク。“カシアス2世”内藤の、父親譲りのストロングポイントだ。が、当然、相手次第。スタミナもロスする。戦い方に様々なバリエーションを加えるのは、さらに上を目指すためには必要だ。昨年10月に韓国で防衛を果たして以来、1年ぶりの試合ということも考慮しなければならない。けれども、この日の内藤は、リズムに乗るための動きを欠いていたように感じた。

 今野の戦い方も生きる距離、つまり近距離をキープした。それは、「今野さんの動きが見えていた」し、自らの印象的なブローをヒットさせるためもあるだろう。それが、戦い方の幅を広げることにもつながる。それは十分に理解できる。だが、そこでの動きが“停滞”しているように感じた。ガードは上げているが、今野のノーモーションの右を何度もコツコツと浴びた。
「攻撃を引き寄せて打つ」ことを考えていたようだが、かつてのようにヒザを柔らかく使うことによってリズムを取れば、攻防に生きる。それは、どの距離にあっても必要なことのはずだ。

 6回、今野の右ボディアッパーがみぞおちに炸裂した。動きの止まった内藤を、今野はなおも攻め立てた。「効いたように見えたかもしれないが、効いてなかった」と内藤は言う。もう一刺しはさせなかったものの、打たせてカウンターを狙うには、しかしあまりにリスキーな選択だったと思う。


内藤(右)は前日から7kgプラス。体が重く見えたが、本人は「そうは感じなかった。体が軽いくらいに思った」という

 それまで動きが少なく、体のキレも欠いて重く見えた内藤だったが7回、ようやく軽やかに動き出す。すると8回、内藤の左ボディアッパーが今野にダメージを与え、一気に連打。今野は効いているだけでなく、左腕をだらりと下げており、異変があったのは明らか。9回、レフェリーによりドクターチェックを受けた今野は、時折左を打つが、ほぼ右腕1本の攻撃に。「今野さんは左フックが強いのに、それを打ってこなかった。隠し持っているんじゃないかと思って警戒していた」(内藤)
 がら空きの今野の左顔面を狙わない内藤には、警戒心とともに、過度の優しさもあったように思う。今野は試合前から左肩を痛めていたようで、この回終了とともに、挑戦者コーナーから棄権の申し出があった。

「4月にシンガポールで世界ランカー(WBO9位)の(ダウド)ヨルダン(インドネシア)と戦うはずだった」(内藤)が、新型コロナウイルスの影響により霧消。本人は言わないが、モチベーションにも少なからず影響はあったはずだ。
「ワシル・ロマチェンコの戦い方より、テオフィモ・ロペスのほうが好き」と内藤。攻撃力のほうに思考は流れているようだが、「映像を見直して、反省点を見つけたい」というとおり、課題を明らかにしてさらに上を目指してほしい。


仲里(右)と木村のホープ対決はドロー

 セミファイナルは、移籍初戦となる日本7位・木村吉光(24歳=Ambition)と同11位・仲里周磨(24歳=ナカザト)のスーパーフェザー級8回戦。仲里が立ち上がりから左ジャブをダブルで上下に散らし、木村の左に右クロスをかぶせ、絶妙な距離を保った。4回には右強打を意識させておいて、痛烈な左フック一撃で木村を倒す。カウント9で立ち上がった木村が不思議なほどの一発だったが、ラウンド終了間際というのも木村にとっては幸いした。

 仲里は左フックを意識させておき、右アッパーカット。カウンターを意識させて木村に入らせないなど上手く戦った。が、木村も徐々に右強打を振って仲里に左ジャブを打たせない。7回には、木村が左フックをダブルで放ち、今度は仲里を倒した。バランスを崩したようにも見え、仲里には不運のダウンだった。

 最終回、仲里は木村にロープを背負わせて連打。しかし、木村が右カウンターで仲里を腰砕けにさせて連打。スコアはジャッジ三者とも75対75。木村が土壇場で勝負強さを発揮したかたちだ。

 数年後、成長した同い年が、ステージを変えて戦う姿を見たい。そう思わせる好ファイトだった。

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文_本間 暁 写真_長岡洋幸

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