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2018-03-12

[高校野球] 17年夏の甲子園1回戦 津田学園-藤枝明誠 「待て」のサインが生んだ4得点

好投の藤枝明誠・久保田蒼布の動揺を突く

 2017年、第99回全国高校野球選手権大会初日の第3試合は、津田学園(三重)、藤枝明誠(静岡)の初出場校同士の対戦になった。試合は初回に藤枝明誠が重盗で1点を先制。先発した久保田蒼布は右打者外角のスライダーと内角に沈むチェンジアップを武器に、3回まで津田学園打線に4安打を打たれながらも無失点に抑えていた。

 迎えた4回裏、先頭の四番・上下大地を三振に仕留めたものの、藤井久大、久保田拓真、水谷翼の3連打で一死満塁のピンチ。ここで1年生の石川史門がとらえた打球は遊撃へのゴロ。「ゼロで抑えられると瞬間的に思ったはず」(藤枝明誠・光岡孝監督)。ダブルプレー態勢が奏功したかに思われたが、二塁手の一塁転送が本塁側に逸れ、1点を失った上に二死一、三塁とピンチが続いた。この隙を見逃さなかったのが津田学園の佐川竜朗監督だ。

「それまで淡々と投げていた久保田投手に動揺を見て取ったので、九番の中島貴良には全球『待て』のサインを出したんです。仮に中島が早いカウントから打って凡打したり、ボール球に手を出して打ち取られては流れを手放してしまうので」

 カウント3ボール1ストライクから四球で中島を歩かせた久保田は、一番・菊地翔矢に走者一掃の3点適時三塁打を許し、勝ち越しを許す。試合は延長11回まで及ぶ接戦となり、7対6で津田学園が勝利。試合序盤のポイントに挙げられる采配だった。

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