
投手のプロ入りが続いている九州産業大。遠投によって腕を強く振れるフォームを探した次のステップがウエートトレーニングによる体づくりだ。
投手の練習で一般的に行われるキャッチボール、遠投、ブルペン投球、実戦投球、ランニングなどを行っているだけでは自分が持っている能力を出すことでとどまってしまいがち。「野球の技術を高めようとすれば、フィジカルも同時に高める必要があると考えています」。そこで、九産大卒業後にもプロや社会人でプレーを続けたいと希望する選手にはウエートトレーニングを推奨している。
大久保監督が三菱重工長崎時代の90年代の後半は、野球界にもウエートトレーニングが本格的に導入され始めた時期。チームは現在、ソフトバンクでトレーニング指導に当たる高西文利トレーナーに師事し、99年に都市対抗で準優勝、01年に日本選手権で優勝の結果を残し、プロ入りする選手も続いた。「チームの強化にウエートトレーニングは欠かせない」との結論を得た。
「140㌔、150㌔を投げるにはそれだけの筋力が必要です。高校生でも150㌔を投げる投手が出てきていますが、それらの投手もそれを可能にするだけの筋力を、先天的なものにせよ、鍛えた結果にせよ持っているわけです。本学にも『150㌔投げて、プロや社会人で野球を続けたい』と希望する投手はいます。ただ、それを実現するには、150㌔投げるだけのフィジカルを身につけなければなりません。では、『どのような手段でそれを身につけるのか』という問いの答えがウエートトレーニングだと考えています」

九産大のキャンパス内にあるトレーニング施設。ウエートトレーニングは週2回、トレーナーの指導の下で行う
遠投で得た強く腕を振れるフォームを進化させるためにも、土台を大きくする必要がある。以前は投手がウエートトレーニングを行うことは弊害があるという見方もあったが、昨今はプロの一線級の投手たちも当然のようにウエートトレーニングに励んでいる。九産大では週2日、ウエートトレーニングを行う日を定め、トレーニングコーチの指導の下、2時間前後のメニューを組んで行っている。
中にはウエートトレーニングによって一気に球速が上がる投手がいる。気をつけなければならないのは、そうしてモチベーションが向上した投手。投げることに前向きになることに加え、体の負担が増して故障につながるケースも多い。「そうした点でも投球数の調整が必要になってきます」。大久保監督が注視する部分だ。
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