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2020-12-25

【ボクシング】明日、注目のライト級決戦。伊藤、三代ともに「勝って吉野選手と戦いたい」

伊藤(右)はリミット100gアンダーの61.1kg、三代はリミットでパス

 元WBO世界スーパーフェザー級チャンピオン伊藤雅雪(29歳=横浜光)対東洋太平洋スーパーフェザー級チャンピオン三代大訓(みしろ・ひろのり、26歳=ワタナベ)。ともに1階級上げての注目の“ライト級決戦”が明日26日、東京・墨田区総合体育館で行われる。計量をパスした両者が25日、オンラインで意気込みを語った。

 スーパーフェザー級から+2.3kg。この幅が、両者の心身に“ゆとり”を与えているようだ。
「スーパーフェザー級のときは、(調整の)最終段階で動けなかった。けれど今回はギリギリまでスパーリングすることができた」(伊藤)
「コンディションは最高です。何も心配事がないです」(三代)
 血色の良さだけでなく、スッキリとさわやかに語り、明日、決戦を迎えるとは思えない笑顔を振りまく。

 1度は11月上旬に設定された対戦だが、伊藤が急性虫垂炎を患い延期。
「この期間で、コロナ自粛期間になまり気味だった体が元に戻った」と伊藤。ホルヘ・リナレス、中谷正義(ともに帝拳)、ジムメートの坂井祥紀らとのスパーリングを重ねた。「ボディを打たない、左だけとか“条件スパー”の時期もつくって、これまで気づかなかったことに気づくことができた」。左の当て方や、打った後の体勢に新たに発見があったという。

 対する三代は、同僚の宇津木秀、富岡樹(REBOOT.IBA)らとのスパーをこなした。「これまではスパーの勝敗を気にしていたけれど、今回は相手が“イトウマサユキ”なので、“イトウマサユキ”を常に基準にして、これではダメだと」設定を上げていたのだという。
 三代にとって、アマチュア時代から国内トップを走っていた伊藤は、いわば憧れの存在。だが、「今日、計量で向かい合ったら、(伊藤を)オリジナルと感じなかった。無理にメンタルをつくる必要はないな、越えれる、届くなって感じました」

 恒例となっていたロサンゼルスキャンプは今回行えなかったものの、同地で世話になっている岡辺大介トレーナーはすでに来日し、当日もセコンドにつく。「自分なりの狙いがあるので、大介さんと戦術的なことを確認しています。その作戦を実行していきたい」(伊藤)

「派手な打ち合いにはならない。きっと“斬り合い”になる。接戦になるでしょう。そこでまずは自分に勝つこと。休もうとする弱い自分に勝つことが、伊藤選手に勝つカギでもある」(三代)

 伊藤も認める左ジャブの名手・三代。そのジャブに、磨きをかけたジャブで伊藤が対抗するのか。得意と自認する右ストレートで、ジャブを抑止するのか。ともにカウンターも上手く、ハイレベルな技術戦、目に見えない戦いと、玄人を唸らせる展開になること必至だ。

「これに勝って、吉野選手と戦いたい」。伊藤、三代ともに、日本・東洋太平洋・WBOアジアパシフィックの3冠王・吉野修一郎(三迫)の名を挙げた。ラスベガスで快挙を遂げた中谷を筆頭に、国内ライト級は日本ランクを見渡しても強豪ぞろい。空前の活況を呈している。
「もう、ライト級で戦っていきます」(伊藤)
「スーパーフェザー級の王座は返上します。ライト級でずっとやっていきます」(三代)
 ふたりとも、このクラスを活性化させる気満々だ。

「いい試合になるので期待してください」(伊藤)
「向こうが『自分が主役、主演』と言っているけれど、根こそぎ全部かっさらいます」(三代)

 YouTubeの『A-SIGN』チャンネルでもライブ配信されるこの興行。赤穂亮、坂井祥紀(ともに横浜光)、佐々木尽(八王子中屋)対石脇麻生(寝屋川石田)のスーパーライト級ホープ対決など、前座カードも豪華。ボクシングファンは、絶対に見逃してはならない。

ボクシング・マガジン 1月号

文◎本間 暁 写真◎横浜光ジム

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