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2020-12-26

【ボクシング】矢吹正道、大差判定のV1で日本は「卒業」

矢吹(左)は強く正確な左で大内を寄せ付けなかった

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日本ライトフライ級チャンピオン矢吹正道(28=緑)は26日、愛知県刈谷市あいおいホールで同級1位の大内淳雅(35=姫路木下)とタイトルマッチ10回戦を行い、3-0の判定勝ちで初防衛に成功した。

これまで11勝オールKO(3敗)とハードパンチを売り物にしてきた矢吹が、一味違う“大人”のスタイルで完封勝利を飾った。フットワークを使ってリングを大きく旋回し、ジャブを多用するアウトボクシングで毎回ポイントをリード。強烈な右ストレート、右アッパーで追い込む場面もあったが、大内の堅いガードを崩すことはできなかった。深追いしなかったのは自らのもろさを知っているのと、この先にもっと大きな野望があるからだ。

6回、この一発に賭けていた大内の右クロスで一瞬、足元をふらつかせたが、後続打は許さない。最終回にはガードを下げて揺さぶりながら次々とカウンターを打ち込み、大内のパンチはすべて上体の動きでかわす天才的なパフォーマンスを披露。下されたスコアはジャッジ2人が99対91、残る1人が100対90のフルマークだった。


初防衛に成功した矢吹。次は世界へ乗り出すと宣言した

「KOを期待されていることは分かっていたが、相手もベテラン。キャリア特有のうまさでピンポイントに当てさせてもらえなかった。KOにはこだわっていないし、10ラウンド戦えたのは収穫」と、初の判定勝利を前向きに捉えた矢吹。「ここ3試合で日本のトップランカーには全部勝った。もう国内には敵がいない」と、いよいよ世界へ名乗りを上げた。ターゲットに挙げたのはWBC王者の寺地拳四朗(BMB)。「前からやりたいと思っていたし、一番評価が高いチャンピオンだから」というのがその理由だ。現在、WBCでは3位につけ、松尾敏郎会長も「早くチャンスを作ってあげたい」と矢吹にゴーサインを出した。

敗れた大内は「想像以上に距離が遠かった。速いし、すごいレベルのボクシングだった」と矢吹を評した。4年前に判定負けした寺地より「強かった」とも証言。2021年のライトフライ級戦線に、重要なキャストが加わった。

ボクシング・マガジン 1月号

文/藤木邦昭 写真/佐藤真一

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