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2021-01-11

【相撲編集部が選ぶ初場所2日目の一番】

低く当たった阿武咲が照ノ富士の上体を起こし、モロ差しで寄り切った

阿武咲(寄り切り)照ノ富士

注目の綱取り貴景勝は、埼玉栄高の先輩・大栄翔の叩きにバッタリと落ちて連敗。初日に敗れて綱取りに成功した力士はいるが、初日から連敗して横綱になった力士はいないので、綱が大きく遠のく敗戦となった。

両横綱の休場で優勝争いは3大関と関脇照ノ富士の4人を中心に展開すると見られているが、その中でも最近の成績から照ノ富士を一番手に推す人も多い。もしも照ノ富士が優勝なら、大関復帰の可能性もある。

その照ノ富士は阿武咲と対戦。これまでは照ノ富士が3勝1敗とリードしているが、やりやすい相手ではない。どちらかと言えば、苦手なタイプだろう。低身長で下から押し上げてくる力士はやりにくいはずだ。

立ち合い、低く当たった阿武咲。照ノ富士は胸で受け止める。阿武咲が激しく突っ張って照ノ富士の上体を起こすと、右から左からハズ押しで攻め込んだ。照ノ富士も懸命に左手を伸ばして上手を探るも取れず、上体が伸び切ってしまい、モロ差しの体勢となった阿武咲に寄り切られてしまった。

照ノ富士攻略のお手本のような相撲で勝った阿武咲は、「前回は抱え込まれて胸が合ってしまったので、組ませないように上手を取らせないようにした。思いどおりの相撲が取れてよかったです」と声が弾む。

NHKテレビの解説を務めていた荒磯親方(元横綱稀勢の里)が、「今場所は体に張りがありますね。輝いて見えます」と言うほどで、体調はよさそうだ。「体重を少し増やしたんです。増やしても動けるように稽古を積んできた。場所前はいい稽古ができたので、自分を信じていきます」と語る阿武咲。

子どものころからの同学年のライバル・貴景勝とは差がついてしまったが、「今年の目標は三役復帰です。昨年は三役に戻ることができなかったので、三役に戻れるように集中していきます。(貴景勝に)一歩でも近づけるように頑張ります」と決意を語った。今場所は西3枚目で上位総当たりの位置だけに、大関陣にとっても怖い存在だ。

2日目で役力士の全勝は大関正代と関脇隆の勝の2人となって早くも混戦ムードだが、どんな結末が待っているのか。

文=山口亜土

令和三年大相撲力士名鑑(「相撲」編集部/編)

相撲 1月号 初場所展望号(No.917)

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