大栄翔(突き出し)正代この日は終盤に大波乱。3大関全員が敗れてしまった。特に貴景勝は3連敗で綱取りは絶望的。本人は「いつもと変わらない」と語っていたが、やはり綱取りの重圧があったのだろう。4日目からは気楽に伸び伸びと相撲を取ってほしいものだ。
貴景勝と仲がよく、埼玉栄高の先輩にあたる大栄翔が絶好調。先場所は2枚目で10勝も三役に上がれず、その悔しさをぶつけているようだ。初日から朝乃山、貴景勝と大関を連破し、3日目も正代を圧倒した。
大栄翔は立ち合い、両手をついて正代を待ち、立ち上がるとモロ手突きから突き起こす。もともと上体が高い正代だが、さらに起こされて大栄翔の突きに防戦一方。下からあてがってしのごうとするも、一瞬引いたところを一気に出られて完敗した。
3大関総なめの大栄翔は、「今日もよかったです。自分の相撲が取り切れたことが一番。大関3人に勝てたことは本当に自信になるので、持続させていきたい。どんな相手でも燃えていきますけど、やっぱり大関は特別です」と興奮した様子。
先場所前に右ヒジの軟骨除去手術をして、先場所もよかったが、今場所の方がさらに突きの腕が伸びて回転も速い印象だ。「ヒジはまったく問題ないです。腕の伸びがよかった。立ち合いの角度もよく、迷いなく前に出られています」と絶好調をアピール。
連勝していた関脇隆の勝も阿武咲に敗れて、三役以上で全勝力士が消えた。全勝は平幕の大栄翔、阿武咲、明生、翠富士、明瀬山の5人。今場所も大混戦となりそうだが、「大関戦と同じ気持ちで集中して、最後までこういう相撲を取っていきたい」と気合が入る大栄翔が怖い存在だ。
文=山口亜土
令和三年大相撲力士名鑑(「相撲」編集部/編)
相撲 1月号 初場所展望号(No.917)