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2021-01-15

【相撲編集部が選ぶ初場所6日目の一番】

立ち合いからリズムよく攻め、照ノ富士を圧倒した大栄翔が全勝を守った

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大栄翔(押し出し)照ノ富士

全勝の平幕3人のうち明生が敗れて、トップは大栄翔、明瀬山の2人となった。前日はそろって白星を挙げた3大関だが、貴景勝、朝乃山が敗れる波乱。と言うか、もはや波乱でもないか。三役以上での1敗力士は大関正代だけとなった。

6日目の一番は、ものすごい相撲で照ノ富士を圧倒した大栄翔を取り上げたい。初日から役力士と当たり続けながらの快進撃で、同じ全勝の明瀬山とは内容が違う。

立ち合い、大栄翔は先に手をついて待ち、照ノ富士の胸をめがけて思い切り頭から当たっていった。すぐに左右から突いて相手の上体を起こすと、左ノド輪でさらにのけ反らせ、土俵際に追い込む。回り込もうとする照ノ富士を右ノド輪押し、左おっつけから押し出した。まさに「強い!」のひと言。敗れた照ノ富士も、「強いなあ」という表情で大栄翔を見ていた。

6連勝の大栄翔は、「しっかり前に攻めることができたのでよかったと思います。自信になる相撲だったので、このあとも気持ちよくいけます」と声も弾む。

好調の要因を本人に分析してもらうと、「攻めのリズムがいい。今場所は無理に前に出るということがない。いつもは無理に出て、叩きとかで逆転されている。突きも左右交互に出て、足もよく出ている」と語る。

まさにそのとおりで、対戦相手としては右の突きを受けたあと、攻勢に転じようとしても、すぐに左の突きが飛んでくる。リズムよく回転も速い。足もよく出ているから、突きに体重が乗って一発の威力が大きいのだ。

7日目の対戦相手は関脇の隆の勝。これで役力士との対戦はすべて終了となる。上に勝てたから下にも勝てるとはいかないのが突き押し相撲の難しいところだが、今後の対戦相手を考えれば、優勝候補の筆頭だ。

優勝の可能性を聞かれた大栄翔は、「まだ全然、早いですよ」と意識はしていないようだが、初場所はこの5年間、琴奨菊、稀勢の里、栃ノ心、玉鷲、德勝龍と初優勝が続いている。大栄翔の快進撃がどこまで続くのか、楽しみでならない。

文=山口亜土

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