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2021-01-16

【相撲編集部が選ぶ初場所7日目の一番】

立ち合いのぶちかましから強烈な突きを繰り出し関脇隆の勝に圧勝、7連勝で単独トップに躍り出た大栄翔

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大栄翔(押し出し)隆の勝

初日から連勝を続けていた再入幕の明瀬山が逸ノ城に敗れて、勝ちっ放しは西筆頭の大栄翔だけとなった。前日も大栄翔を取り上げたが、7日目も素晴らしい相撲だったので、取り上げないわけにはいかない。

この日の対戦相手は関脇の隆の勝。大栄翔にとっては、今場所最後の役力士との対戦になるが、立ち合いで頭からぶちかますとモロ手突きで吹っ飛ばし、左右から強烈な突きを繰り出して圧倒した。

今場所の隆の勝は腰の備えもよく下半身が安定し、地力が伸びている印象だっただけに、何もさせずに圧勝するとは驚きだ。

「立ち合いがよかったので、先手で攻めることができた。内容がいいので、自分でも力がついてきたなと思います。上位に勝てるのは自信になります」とコメントも自信にあふれている。立ち合いの角度、踏み込みとも申し分なく、力がすべて相手に伝わっているようだ。

今場所で突き押し相撲に開眼した大栄翔だが、転機となったのは9月場所後の右ヒジの手術だった。遊離軟骨、いわゆるネズミを除去したのだ。「ずっと右ヒジが痛かったんですけど、9月場所は痛くてどうしようもなく、右が使えなかった」と振り返ったが、手術後は痛みもなくなった。

「11月はリハビリとかあって、完全ではなかったんですけど、それでも二ケタ勝てて安心したことが大きいと思います」と今場所の躍進につながった。

コロナ禍で出稽古ができない中、所属する追手風部屋には自身を含めて6人の関取がいる。相撲のうまい遠藤、スピードのある翔猿、十両では大奄美、剣翔、大翔丸といろいろなタイプの関取と稽古ができる。「いい環境で稽古ができたのは恵まれていると思います」。ちなみに7日目は、この6人の関取全員が白星を挙げている。

前日は優勝について、「まだ早すぎる」と言っていた大栄翔だが、「地元の人も喜んでくれているので、期待に応えられるように頑張ろうって気になります」とコメントが変わってきた。地元の埼玉県朝霞市では今から大変な騒ぎになっているそうだ。埼玉県から幕内優勝力士が出ていないのは大栄翔も知っており、「ずっと埼玉育ち(高校も部屋も)なので、地元の期待に応えたい」と意気込む。

これからは番付が下の力士との対戦となるが、「番付が下でも平幕上位はみんな強いので、向かっていく気持ちでやります」と油断することなく、後半戦の土俵に挑む。

文=山口亜土



 大相撲初場所7日目 幕内取組結果

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