close

2021-01-24

【相撲編集部が選ぶ初場所千秋楽の一番】

優勝の懸かった大一番に全身全霊で自分の相撲を取り切った大栄翔が隠岐の海を突き出しで圧倒、自身初、追手風部屋、埼玉県出身としても初の賜盃を手に入れた

全ての画像を見る
大栄翔(突き出し)隠岐の海

緊急事態宣言の発出で開催自体が危ぶまれていた初場所が、ついに千秋楽を迎えることができた。出場力士の中から新型コロナの感染者が出ず、本当によかった。関係者の頑張りと努力に感謝したい。

単独トップの大栄翔は隠岐の海と対戦。勝てば、その瞬間に初優勝が決まるが、負ければ1差で追う正代の結果次第。正代が勝てば決定戦となる。大栄翔としては一発で決めたいところだ。

相当な緊張感だっただろうが、大栄翔はいつもどおりの仕切りを繰り返し、時間いっぱいになるといつもどおりの気合の入った表情で最後の仕切りに向かった。緊張よりも「やってやるぞ」という高揚感の方が上回っているように見えた。

立ち合い、いつものように先に両手をついて待つ大栄翔。立ち上がると下から上に突き刺さるような角度で当たり、すぐに左右から突っ張りを繰り出す。隠岐の海はあっという間に土俵に詰まった。大栄翔は追い足鋭く間隔をあけさせず追撃し、一気に突き出して初優勝。上位総なめ13勝2敗の見事な平幕優勝だった。

「自分の相撲を取るしかないと思っていたので、迷いなくいけました。もう、うれしさしかないです」と興奮気味。初めて手にした天皇賜盃は、「あんなに重いものだとは思わなかったのでびっくりしました」と言う。賜盃の重さは約30キロ。ちなみに内閣総理大臣杯は約40キロある。

ずっと「優勝は意識していません」と言っていたが、「考えると硬くなるので、考えないようにはしていたんですけど、少しは考えていました。14日目が終わったときにあと1日だと思って、かなり意識していました」と語る。

今場所は十両も同じ追手風部屋の剣翔が優勝。コロナ禍で出稽古ができない中、部屋に関取が6人もいることが大きかった。追手風部屋としても初めての幕内最高優勝だ。「部屋初は本当にうれしいです」。

初は部屋だけではなく、出身の埼玉県としても初めての優勝力士となった。出身は朝霞市、高校は埼玉栄高、部屋は草加市とずっと埼玉県で育っただけに喜びは格別だ。

今年はまだ朝霞の実家には帰っておらず、場所後に帰る予定だ。実家には愛犬のチロルちゃんがいる。「場所中も家族に動画を送ってもらって癒しになっていました」と語る。記者から「チロルちゃんにいい報告ができますね」と振られると、「はい! 報告します」と満面の笑顔。

来場所は小結を飛び越えて関脇に復帰するだろう。大関への期待も膨らむが、「今場所は自信になる相撲がたくさんあった。変わらず自分のいい相撲を毎日取れるように頑張っていきたい」と気持ちは来場所に向かっていた。


  大相撲初場所千秋楽 幕内取組結果

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事