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2021-07-10

【女子ボクシング】天海ツナミは王座陥落。エストラーダの手数評価され、大差判定でV4失敗

王座を失い、呆然とする天海

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 日本の女子王者、ダブル勝利ならず……。9日(日本時間10日)、アメリカ・ロサンゼルスのバンク・オブ・カリフォルニア・スタジアムで行われたWBO女子ライトフライ級タイトルマッチ10回戦は、王者・天海ツナミ(36歳=山木)が、挑戦者セニーサ・エストラーダ(29歳=アメリカ)に0-3(91対99、92対98、92対98)の大差判定で敗れ、4度目の防衛がならなかった。

Photo_Getty Images

 主催するゴールデンボーイ・プロモーションの元名チャンプ、オスカー・デラホーヤ、バーナード・ホプキンス両氏が、採点発表前からエストラーダを祝福する。
 2019年11月にWBAフライ級暫定王座、3月の前戦で、日本におなじみのアナベル・オルティス(メキシコ)からWBAミニマム級王座を奪った無敗(20勝8KO)のエストラーダを、さらなる“ヒロイン”にしようという意図がありありと窺える。

 天海にとって、初回の印象が悪かったのかもしれない。常に「1ラウンドは相手のパンチの軌道、タイミングなどをはかる」と語り、この日のリングでも同様に、じわじわと前に出ながら、得意のディフェンス力を駆使する。それに対し、エストラーダは立ち上がりから手数旺盛。ラウンド終了間際にはサウスポーにスイッチしてみせた(エストラーダは以降、頻繁にサウスポースタイルを見せて、王者を幻惑しようした)。

 2回に入ると、天海はプレスを強め、右ストレートをリードブローにしながら、追撃の右、左フックをヒット。手数では、圧倒的にエストラーダが優るものの、ジャブ、ボディブローも交えたクリーンヒットでは上回っているように思われた。
 だが、この試合を中継するDAZNでも、手数、ヒット数ともに圧倒的にエストラーダを支持。天海のブローはまったく評価されていないといっても過言ではなかった。

手数で迫るエストラーダに、天海は単発のヒットで対抗したが……
手数で迫るエストラーダに、天海は単発のヒットで対抗したが……

 天海のボディブローを明らかに嫌がるエストラーダは、リングを大きく使って、回避にかかる。セコンドの山木敏弘会長からは、しきりに「ついてけ、ついてけ!」の声が飛ぶ。さらにインターバル中には「手数をもっと出していけ」の指示。これは天海にとって、これまでのキャリアでも課題となっていた点だ。

 天海の右を食って、うっすらと左目周辺を腫れさせたエストラーダだが、手数だけはまったく収まらない。天海は、ボディブローや顔面へのアッパーカットもヒットさせたが、攻めるテンポが単調になり、思った以上の効果を上げられなかった。ロープを背負わせても、エストラーダにサイドへすり抜けられて、さらなる追撃を遂げられなかった。

 前に出る、攻める意識が強すぎた。天海の最大の武器である、屈指の防御技術をもっとアピールしたかった。得意の距離、空間をしっかりと築き、エストラーダに攻めさせて空転させ、焦りを増長させながらカウンター攻撃。自身に主導権がある、コントロールしていると主張するラウンドも必要だったように思う。

 かつてメキシコのリングで7度、チリで1度、同様に手数を取られて黒星をつけられたが、この日も同様の印象。悔しい陥落となってしまった。天海の戦績は42戦28勝(16KO)13敗1分。
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