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2021-07-12

【ソフトボール】東京五輪ソフト代表の上野由岐子(2)「他競技の皆さんを勇気付けたり、勢いを付けられるような試合ができたら」

自身3度目の五輪に挑む上野由岐子。「今の、ありのままの自分をマウンドで表現できたら」(撮影/牛島寿人)

五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

上野由岐子(ビックカメラ高崎/投手)
堂々と、揺るがない心(2)

悲願を達成した北京五輪から13年もの月日が経った。五輪種目からの除外で目標を見失い、先が見えない日々もあった。 しかし、上野は歩みを止めなかった。近くで支えてくれた人たちのために、応援し続けてくれたファンのために、 日本代表の歴史をつなぐために、再び五輪のマウンドに立つ。(取材は5月6日、全文はソフトボール・マガジン8月号掲載)

「自分たちに何ができるか」
スポーツの力を信じたい

──本番を前に、あらためて東京五輪への思いを聞かせていただけますか。
上野 今回のオリンピックは、自分の結果どうこうよりも、金メダルを獲るために自分がこのチームで何ができるかということだけを考えています。そのためには、もっと頑張らなければと思うこともたくさんあります。あとはやはり、宇津木(麗華)監督の期待に応えたいという思いが強いですね。今の自分があるのも監督に育ててきてもらったから。やっぱり監督に金メダルを獲ってほしいですし、一緒に獲りたい。そして、皆さんからも期待されている競技だと思うので、その期待に応えたいという思いもあります。
──7月21日に福島で開幕します。
上野 福島で全競技の先陣を切ってスタートすることに大きな意味があると思っています。自分たちに何ができるのか、そしてどういうプレーをしていかなければならないのか。もちろん勝敗は大事ですけど、それよりも大事なものがあると思っていますし、そういったいろいろなものを背負って戦わなければならないと思っています。だからこそ、皆さんにオリンピックをやって良かったな、福島でスタートして良かったなと思ってもらえるような戦いをしたい。オープニングゲームだからこそ伝えられることってたくさんあると思いますし、自分たちに与えられたそのチャンスを無駄にしたくないんです。だからこそ万全の準備をして本番に臨みたいし、他競技の選手の皆さんを勇気付けたり、勢いを付けられるような試合ができたらと思っています。すごく大事な一戦になるといういい緊張感を持って、結果だけでなく、それよりももっと大きなものを福島に残して帰りたいと思います。
──ご自身は3度目の五輪となります。どんな大会にしたいですか。
上野 日本人だから日本を応援するというのではなくて、ソフトボールの選手だから応援したいと思ってもらえるようなチームでありたい。グラウンド以外での時間を大事にすることが、自分たちの力になっていくと信じて行動していきたいです。
──いろいろな経験をしてきたからこそ、これまでとは違った思いでオリンピックに臨める、と。
上野 若いときのような全力プレーはできないけど、年齢を重ねて心にも余裕ができたと思いますし、堂々としていたいなと思います。今の、ありのままの自分をマウンドで表現できたら。(おわり)

【上野由岐子PROFILE】
うえの・ゆきこ/1982年7月22日、福岡県生まれ。 174cm74kg。右投右打。投手。福岡大附若葉高-ルネサ ス・ビックカメラ高崎(2001年~)。これまで12度の全 日本総合選手権優勝、10度の日本リーグ優勝を経験し、 MVPをはじめ数々の個人タイトルを獲得。日本代表ではアテネ、北京と2度五輪の舞台に立ち、北京では金メダル獲得に大きく貢献している。今季リーグ成績(5節終了時 点):4試合18回、1勝1敗、23奪三振、防御率1.56。

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