明日2日、東京都・後楽園ホールで開催される日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦の前日計量が1日に行われ、チャンピオン古橋岳也(33歳=川崎新田)、挑戦者6位・花森成吾(23歳=JB SPORTS)ともにリミットちょうどの55.3kgでクリア。オンラインによる合同会見で意気込みを語った。文_本間 暁 写真提供_川崎新田ボクシングジム
「自分はまだチャンピオンとは思っていません。防衛してこそ王者」。自身を律するような言葉を古橋は口に出した。
今年1月、3度目の王座挑戦で、強打の久我勇作(ワタナベ)を劇的な9回TKOで下し、プロデビューから14年、36戦目にして念願のベルトを巻いた。
それまでのキャリアが濃密に過ぎるからこそ、多少なりとも力を抜いても誰も彼を責めないはず。しかし、「あくまでもここからがスタート。まだそのラインに立ったばかりです」と、古橋は当然のように語ってきた。このベルトが最終目標ではないからだ。
「1度の攻撃で終わらず、2回、3回と攻める!」と古橋 プロデビューから8年目の23戦で最初の日本王座挑戦を迎えた古橋に比べれば、5年目11戦でそのチャンスをつかんだ花森は、恵まれているかもしれない。しかし、本人、陣営には「軽い相手として選ばれた」“噛ませ犬”の想いが強そうだ。試合決定のときから、「誰もが王者有利と思っているはず」と公言。「思いきり行って噛みつくだけ」と繰り返してきた。
しかし、参謀・山田武士トレーナーは、世界戦のセコンドをはじめ、大舞台経験も豊富。決して「当たって砕けろ!」などという“神頼み”ではいないはず。ジム入門当初は縄跳びができなかった花森を、バランスの良いストレートパンチャーに磨いてきただけに、それを当てる“策”を入念に練ってきたはずだ。
「いまの勢いをぶつける!」と花森「圧倒して勝ちます」と自信たっぷりに語ってきた古橋は、その言葉の裏にある想いを口にした。
「いままで戦ってきた名だたる選手。彼らに勝って、いまの自分がある。だから、その名に恥じないようしなければならないんです」
自身への強烈なプレッシャーである。
「花森選手はいい勝ち方(4連続KO)をしていて勢いがある。それをいちばん気をつけたい。そして、長身(171cm。古橋は165cm)から打つストレートを正面から受けないよう、常に立ち位置を変える」(古橋)
「前半、飲み込まれずに後半戦に持ち込めたら勝機が出てくる。古橋選手もスタミナがあるが、勝負できる自信がある。ただ、もちろん前半もしっかりとポイントを取るつもり」(花森)
全幅の信頼を寄せてきた孫創基(ソン・チャンギ)トレーナーが独立し、新たに笠康次郎トレーナーと組んでの初戦となる古橋は、強靭なフィジカルとスタミナをさらに生かすスタイルの構築という点で、笠トレーナーとガッチリかみ合っている様子だ。
速いテンポで攻撃を仕掛けていく熱闘型の王者に対し、バランスを整えてしっかりとパンチを放つ花森がどう受けるのか、流すのか。暑い夏日をさらに熱くさせる試合を期待したい。
古橋:36戦27勝(15KO)8敗1分
花森:10戦7勝(5KO)3敗