来春のチャンピオンカーニバルで日本スーパーバンタム級王座への挑戦権を懸けた8回戦が13日、東京・後楽園ホールで争われ、同級2位の古橋岳也(川崎新田)が元王者で現3位の田村亮一(JBスポーツ)に3-0の判定勝ちを収めた。
写真上=古橋(左)の左フックが決まる
乱戦の泥沼を、よりうまく泳ぎ切ったのは古橋だった。本来、こういった展開は田村のほうがずっとうまい。体ごと押し出すように距離を潰し、わずかなスペースを連打で埋めていく。この試合でも初回、まんまと田村はどつき合いに持っていく。左フックで古橋をよろけさせる場面もあった。
32歳の田村にはどうしてもものにしたい戦いだった。『打倒・久我勇作』が頭にあるはず。2年前、日本王者の久我に挑んだものの判定負け。納得のいかない田村は再戦を望んだがかなわない。久我が王座を明け渡し、空位となったタイトル決定戦に勝ってチャンピオンにはなった。ところが、挑戦者として再び現れた久我に、際どく判定で敗れた。試合後の控室で、田村はちらっと恨み言のひとつを残した。
もちろん、古橋としても田村の野心の手を貸してやるような余裕はない。こちらは過去2度も日本王座に挑みながら、ベルトに手が届いていないのだ。キャリア12年、31歳。もう残り時間は多くはない。
◆ボディブローが流れを決定づける
初回を乗り切った古橋だが、2回にはハンディが襲う。右目上をカットした。レフェリーの判断はパンチによるもの。さらに7回にも左目上から流血を見ている。しかし、これが古橋に奮起を促す。
2回、ボディ連打からアッパーと攻め込む田村の攻勢を、左ボディフックで追い返す。同じパンチを今度は顔にカウンター。流れのあらかたは、これで古橋のものになった。
互いのパンチが無数にヒットする。乱打に次ぐ乱打。大きなヤマは5回だった。古橋の右で田村はのけぞるが、すぐに右で応戦。負けじと古橋は左フック。そんなパンチの応酬のさなか、古橋のボディブローが確かに効いた。田村の上体が折れる。動きが止まる。
続く6回も、ボディブローで動きを失いかけた田村は、その後もへこたれることなく前進。しかし、何かがすり減ったように、いつものしつこさは目減りしていた。派手な殴り合いの中で、正確さで上回った古橋はそのままゴングまでなだれ込んだ。
判定は77対76、77対75、78対75とジャッジ3者ともに古橋の勝ちとしていた。
文◉宮崎正博
写真◉菊田義久
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