福井県敦賀市を舞台に、8月3日(火)から6日(金)まで開催されていた『第56回全日本高等学校男子選手権大会』。大村工業(長崎)が2大会連続4度目の勝利で幕を閉じた今大会の、準決勝以降の戦いぶりを振り返る。
(文=大久保 亘、写真=宮原和也)

2年振りのインターハイが行われ、男子は
大村工業(長崎)が頂点に立った。複数校の同時優勝を含めると、通算4度目。
昨年は新型コロナウイルスの影響で大会は中止。今年は無観客のうえ、プレー中以外の選手にはマスクの着用が呼びかけられながらの開催となった。それでも選手たちは試合ができる喜びを味わうように、連日熱戦が行われた。
6日に行われたのは、準決勝と決勝の計3試合。準決勝1試合目は、その大村工業と
御調(広島)との対戦。大村工業は序盤から3点をリードし、このまま逃げ切るかと思われた。しかし7回表、御調・岡川慈宏が3ラン。土壇場で同点に追いつき、盛り上がる御調ベンチ。これで勢いは御調かと思われたが、タイブレーカーの8回、大村工業は表の守りを無失点で切り抜けると、その裏、山本陸人がサヨナラ打を放って決勝へ駒を進めた。

▲準決勝では終盤に追い付く粘り強さを見せた御調
準決勝もう1試合は、2007年に優勝して以来の頂点を狙う
新見(岡山)。中学でも全国優勝経験のある好投手・阿曽慣太を擁して、センバツ覇者の啓新(福井)など強豪を次々に破って勝ち上がってきた。対するのは9年振りのベスト4進出となった古豪・
岡豊(高知)。岡豊もここまで快進撃を続けてきたが、ここは新見が一枚上手。2回裏に5安打4得点の猛攻を見せると、3回にも1点を追加。阿曽が危なげなく無失点で完封した。

▲2007年以来の優勝を狙った新見は惜しいながらも準優勝を飾った

▲9年ぶりに4強入りを果たした岡豊
そして決勝戦。最後は大村のベンチまで含めたチームの完成度の高さが際立った。両チーム無得点の4回表、代走・田口功誠が盗塁を仕掛けると、これが相手のミスを誘って、一気に生還。四球を足掛かりに、ヒットはなくても得点を奪うという相手にとってもダメージの大きい攻撃パターン。2点リードで迎えた最終回、それまで好投を続けていた山本愛闘が一死一・二塁のピンチを背負う。ここでリリーフした村本直輝が後続を2連続三振。左右両エースがそれぞれの持ち味を存分に出し切った。対外試合が制限されることも多く、どこも思うようにチームづくりができない状況の中でも、ここまでできることを証明してみせた。

▲新見のエース・阿曽慣太。好投を続けチームを牽引した

▲大村工業の主将・淀川瑛澄(中央)と、左右両エースの山本愛闘(右)と村本直輝
文責=ソフトボールマガジン