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2021-08-10

【ボクシング】ジロリアン陸、またまた豪快KO勝利!

またまたワンパンチKO! いわゆる“当て勘”も優れている!

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 10日、東京・後楽園ホールで行われたライト級8回戦は、日本同級16位のジロリアン陸(33歳=フラッシュ赤羽)が、ノーランクのサウスポー橋本祐二(36歳=折尾)から計3度のダウンを奪って2回2分19秒TKO勝ち。これで5連勝(4KO)。この日も一撃必倒の強打を存分に見せつけた。

文_本間 暁 写真_小河原友信

打ち合いたいが打たれたくない……

 リングネームどおり『ラーメン二郎』の熱烈なフリークにして、路上マジシャンで生計を立ててきたという異色のボクサー、ジロリアン。だが、そんなバックボーンを紹介するのも不必要なくらい、実はボクサーとしての能力に長けている。この日の相手・橋本も、福岡県内の交番に勤務し、昨年8月に13年9ヵ月ぶりにリングに戻ってきたという類まれな経歴の持ち主だったが、実力の差は誰の目にも明らかだった。

ジロリアン(左)の圧を受けて、橋本は下がらざるをえなかった
ジロリアン(左)の圧を受けて、橋本は下がらざるをえなかった

 初回、橋本の入り際に「狙っていた」左フックを合わせてダウンを取ると、右でふたたび倒す。3試合連続初回KOこそならなかったものの、2回、必死に距離を取って逃れる橋本にロープを背負わせ、手を出さざるをえない状況に追い込むと、橋本に左を打たせてそれをかわし、右アッパーカット一閃。バッタリと大の字になった橋本は数分間動けず、担架で運び出された。

「相手が頭を下げてくるというのは1ラウンドでわかった」。橋本は左の打ち終わりに体を流し、頭を低くする。その癖を読み切った上での、理詰めのKOブローだった。

 しかし、「相手に打たれるのが怖い。ガードの上を打たせて、もっと前に出ていくつもりだったができなかった」とジロリアンはか細い声で振り返る。そして「距離で外すことはできるんですが……」と頭をかく。

 距離で外すことができず、しかたなくガードに頼るボクシングをせざるをえない選手が多い中、彼は“逆”の思考を持つ。
「みんなが熱くなるような試合。できれば打ち合いをしたい」という理想を以前から抱いているのだが、「勇気がない。自信がない」と自身を卑下しているのだ。打たせず打つ、そして倒す。誰もが理想とする形を実現し続けているのだが、そこもふつうの考え方とは異なる。

あまりに繊細な男。それがプラスにもマイナスにも!?
あまりに繊細な男。それがプラスにもマイナスにも!?

 こうなると、上位ランカーとの対戦を望みたくなるのが自然だが、「ライト級は凄い選手ばかり。自分では歯が立たない」と首を振る。が、ファンの期待に応えるには、そういうカードを実現するしかないムード。おもしろい試合を望むのでなく、ジロリアン陸という選手の資質を考えてのことだ。
 ジロリアンの戦績は16戦13勝(12KO)3敗。ランク奪取がならず、9月で37歳の定年を迎える橋本の戦績は13戦7勝(4KO)6敗。

兒玉がデビュー戦の福森を下す

タイミングばっちりの右を連発した兒玉。だが仕留めきれなかった

タイミングばっちりの右を連発した兒玉。だが仕留めきれなかった

 セミファイナルのスーパーライト級6回戦は、昨年度東日本新人王(全日本は棄権)の兒玉麗司(こだま・れいじ、21歳=三迫)が、プロデビュー戦となるサウスポー福森翔太(28歳=フラッシュ赤羽)に3-0判定勝利(58対56、59対55、59対55)。

 日章学園→東洋大(中退)と名門校をわたった兒玉と、全日本王者の兄(雄太=近畿大)を持つ、元大阪商業大主将の福森の一戦。
 初回、福森の左を外して右打ち下ろしを決めてダメージを与えた兒玉。だが、右が見えていないように見える福森の様子に、“いつでも倒せる”という気持ちになったか、もしくは久々の試合に慎重だったのか。攻め急がずにじっくりと向かい合う。

兒玉(左)が詰め切れないうちに、福森もリズムを取り戻した
兒玉(左)が詰め切れないうちに、福森もリズムを取り戻した

 デビュー戦ということもあり、たしかに福森は不安定だった。打ち終わりにアゴを晒す形も再三。けれども、右を狙い打ちたい意識が強すぎるのか、兒玉にも体にリズムがない。3回にも右で福森のバランスを崩させたが、その後が続かない。そうこうしているうちに、福森がリズムを取り戻し、浅くだが左ストレートを当て始めた。

 そんな展開を察知したか、兒玉は5回に入ると上体でリズムを取り始め、テンポを上げる。福森の左をかわして右アッパーを合わせる。これまでも何度もそうだったように、福森はいいパンチを受けると、動きを止めてしまう。だが、兒玉はその瞬間を逃してしまう。

 兒玉サイドとしては、その一瞬を突きたいという課題が見えた。福森サイドは、あのスタートからフルラウンドこなせたことが収穫。そういう試合だった。
 兒玉は3戦3勝(1KO)。

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