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2021-11-10

【ボクシング】11日にWBOアジアパシフィック戦。井上拓真、和氣慎吾ともに勝利宣言

計量は無難にパス。井上(左)、和氣とも世界に向けた最終試験と位置付けている

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 11日、東京・後楽園ホールで行われるWBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王座決定戦に出場する2位の井上拓真(大橋)と3位、和氣慎吾(FLARE山上)の両選手は、前日計量で合格した後でオンラインによる取材に応じ、ともに「自分のペースで戦って、圧倒的に勝つ」と自信を示した。なお、この試合はフジテレビが運営する動画配信サービス、FODでライブ配信される。

 ともに絶対に落とせないカードだ。本来のバンタム級から1階級上げて、これまで手にしたことのないWBOアジアパシフィックのベルトを目指す井上は、暫定とは言え、元WBC世界バンタム級チャンピオンである。3団体の世界ランキングも維持しており、このまま勝ち続ければ世界戦の声がかかってくるのも時間の問題だろう。世界的評価を独り占めする兄・尚弥の影を抜け出す意味でも、スーパーバンタム級で10年近くもの間、国内のトップレベルを守ってきたサウスポーの和氣に対して『格の違い』を見せつけたい。

「打たせないで勝ちたい。スパーリングではサウスポーが相手でもやりたいことができています。負ける相手じゃないし、世界しか見えていません。しっかりと集中して勝っていきます」

 一方、34歳の和氣は、ここでの敗北はボクサーとしての大きな後退を意味する。5年前の世界挑戦でも、さらに2年前にも痛烈なTKO負けを喫しながら、それでも這い上がってきた。4月に予定されていた元IBF王者、小國以載(角海老宝石)を小國の負傷で流したが、「テンションを落とさないまま練習できてきました」。9月に新型コロナウイルスに感染していたことも明かしたが、無症状ということもあって、隔離期間後に沖縄での走り込みキャンプを敢行。スパーリングそのものは多くはこなせなかったが、それまでに積み上げた準備に自信を持つ。

「以前、1度、(井上とは)スパーリングをしているんですが、印象に残っていません。強い選手だったら何年たっても覚えているんで、(井上は)そんなに強くなかったということでしょう。最近、(井上の)試合のビデオをよく見るんですが、見るたびに自信が湧いてくるんです」

 ともに強気の発言に終始した。そんな2人だが、試合後の第一声についての質問に対してだけは同じ答えだった。

「世界に向けてアピールしたいですね」

 両者にとって、それだけの意味を持つ戦いであることは間違いない。

 10ヵ月前、2度目の東洋太平洋バンタム級王座を手に入れた栗原慶太(一力)戦では抜群の安定感と技の冴えをみせた井上。その後もパンチの切れを増し、カウンターの妙味は一段と深まった。和氣との10センチ以上の身長差をどういう形で克服するのか。攻防のバランスを崩されるともろさを露呈することもある和氣だが、波に乗ったときの鋭さは健在。この一戦、素晴らしい好カードであることだけは間違いない。そして、勝ちと負けとで両者の明暗はくっきりと切り分けられる。そんな厳しい戦いであることも疑いようもない。

文◎宮崎正博 写真◎大橋ジム

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