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2022-02-13

【NFL】「QBジョー・バロウは真にスーパースターなのか」今回のスーパーボウルはそれを問う戦い

NFL入り2年目で、スーパーボウルに出場するベンガルズのQBバロウ=photto by Getty Images

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米プロフットボール・NFLの王座決定戦スーパーボウル。全米で最大・最高のスポーツイベントは、日本時間2月14日午前(現地時間2月13日午後)、ロサンゼルス郊外の最新鋭SoFiスタジアムで開催される。ロサンゼルス・ラムズと、シンシナティ・ベンガルズが激突する。ベンガルズの歴代QBと、現在のエース、ジョー・バロウについて考えを巡らせた。

2月14日(月) 8:00~ NFL on 日テレジータス 2021 第56回スーパーボウル 生中継!

QBには苦労しなかったベンガルズ

 もし『プロフットボール栄誉の殿堂入りしていない名QBの会』というのがNFLに存在していたら。ベンガルズのOBは、有力な会員が目白押しだ。


 過去32年間、スーパーボウルから縁遠かったベンガルズだが、それは決してQBに問題があったからではなかった。

 アンディ・ダルトン<2011年ドラフト2巡35位指名>は、実働11シーズンでパス3万5279ヤード226TD (ベンガルズ時代9シーズン3万1594ヤード204TD)だった。

 カーソン・パーマー<2003年ドラフト全体1位指名>は実働14シーズンでパス4万6247ヤード294TD(ベンガルズ時代7シーズンで2万2694ヤード154TD)だった。

 ブーマー・アサイアソン<1984年ドラフト2巡38位指名>は、実働14シーズンでパス3万7920ヤード247TD(ベンガルズ時代10シーズン2万7149ヤード187TD)だった。
 
 ことQBに関する限り、大きな迷走や苦労はなかった。もちろんドラフトで上位指名したQBが全員活躍したわけではない。バストもいた。1992年1巡6位だったデビッド・クリングラーや、1999年1巡全体3位のアキリ・スミスは期待外れもいいところだった。

 しかし、こんな時でも、不思議と無印のQBが活躍した。クリングラーが外れた時は、モバイルパサーの先駆けともいうべき若いジェフ・ブレークが台頭しオフェンスをけん引した。スミスで大失敗した時は、移籍の強肩ジョン・キトナが3シーズン連続でパス3000ヤード以上を記録した。

 15000ヤード以上のパスを記録したQBは創設54年で5人。同地区のライバル、スティーラーズは89年間で、たった2人(テリー・ブラッドショー、ベン・ロスリスバーガー)しかいない。

 ただし、スティーラーズは、この2人が、計6回もスーパーボウルで優勝したのとは対照的に、ベンガルズの歴代QBは、勝負所で勝てなかった。1970年代から80年代にかけて活躍したケン・アンダーソンは殿堂入りこそ果たしたものの、プレーオフでは2勝4敗。アサイアソンは3勝2敗。2人ともスーパーボウルでは、49ERSのジョー・モンタナの前に膝を屈した。

 パーマーとダルトンに至っては、スーパーボウルどころかプレーオフで1勝もできなかった。


バロウの強さは「インタンジブル」

 2020年ドラフトで、チーム2人目の全体1位指名QBとなったバロウは、先輩たちに比べて、特段に優れたパス能力があるとは言い切れない。もちろん、今季パス4611ヤード34TDは優れた成績だが、シーズン終盤の2試合で971ヤード8TDと「荒稼ぎ」するまでは、トップQBとは言い難い数字だった。

 バロウの今季のパスインターセプト率(インターセプト数/パスアテンプト)は、2.7%だが、ルーキーのトレバー・ローレンス(ジャガース)の2.8%やザック・ウィルソン(ジェッツ)の2.9%とそう変わらない。もっとも、対戦相手のラムズQBマシュー・スタフォードも2.8%だが。

 バロウの強さは、そういった数字には表れない、無形の勝負強さだ。英語ではインタンジブルという。ルーキーシーズンの2020年には左ひざの前十字靭帯や内側副靭帯を切断する大けがを負ってシーズン途中で終了。復帰を不安視されたが、予想以上に早い回復で、開幕からチームを率いた。

 2年目の今季も、NFL最多となる51回のQBサックを浴びた。プレーオフでもディビジョナルラウンドのタイタンズ戦で9サックを浴びながら、最後は勝った。ベンガルズは、ルーキーKエバン・マクファーソンの2試合連続「サヨナラ」フィールドゴール(FG)でプレーオフを勝ち抜いたが、セットアップをしたのはオフェンスであり、バロウだ。
ディビジョナルラウンドのタイタンズ戦では、9サックを浴びながら勝ったベンガルズのQBバロウ=photto by Getty Images

「プロフットボール栄誉の殿堂入り」最初の入試か

 バロウはNFL2年目。21世紀に入ってからの20回のスーパーボウルで、プロ入り2年目で出場にたどり着いたQBは、トム・ブレイディ、ベン・ロスリスバーガー、コリン・キャパニック、ラッセル・ウィルソンの4人。勝ったのは、ブレイディ、ロスリスバーガー、ウィルソンの3人だ。

 将来のプロフットボール栄誉の殿堂入りは、ブレイディは100%確実であり、ロスリスバーガーもほぼ間違いない。キャリア10年のウィルソンは、今後次第とはいえ、有力な候補と言える。20数年後に、バロウが殿堂入りする資格があるのかどうか、少し気が早いかもしれないが、その最初の試験が、今回のスーパーボウルなのかもしれない。

           ◇

今回のスーパーボウルは、日本テレビと系列スポーツ局ジータスによる中継が日本で唯一のテレビ放送となる。

 生中継は日テレジータスで2月14日午前8時から試合終了まで。地上波では、日本テレビで14日深夜26時15分から地上波2時間枠で放送がある。

NFL入り2年目で、スーパーボウルに出場するベンガルズのQBバロウ=photto by Getty Images

【小座野容斉】

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