close

2022-02-12

【NFL】33年前のスーパーボウル、「ミスタープロ野球」長嶋さんが実況に登場した

スーパーボウルで対決するラムズQBスタフォードとベンガルズQBバロウ=photo by getty images

全ての画像を見る
いよいよ目前に迫ってきた第56回スーパーボウル。米プロフットボール・NFLの最高・最強の2チームが、雌雄を決する時が近づいている。

 今季の対戦カードは、22年ぶり2回目の優勝を狙うロサンゼルス・ラムズと、33年ぶりの出場で悲願の初優勝を狙うシンシナティ・ベンガルズ。日本時間2月14日午前(現地時間2月13日午後)、ロサンゼルス郊外のイングルウッドにある米国でも最新鋭のSoFiスタジアムで激突する。

2月14日(月) 8:00~ NFL on 日テレジータス 2021 第56回スーパーボウル 生中継!

 日本でも「スーパーボウルは見る」というファンは多いため、繰り返し強調しておきたい。今季、NHKがNFL放送から撤退したために、NHK-BSによるスーパーボウル中継はない。日本テレビと系列スポーツ局ジータスによる中継が日本で唯一のテレビ放送となる。

 生中継は日テレジータスで2月14日午前8時から試合終了まで。地上波では、日本テレビで14日深夜26時15分から地上波2時間枠で放送がある。

  ベンガルズが出場するのは、1988年シーズン(1989年1月)以来だが、日本テレビとは不思議な因縁がある。それまでTBSが10年間放送していたスーパーボウルを、日本テレビが初放送したのが、この23回大会だった。

 初スーパーボウルとなった、日本テレビの放送陣は、今でも驚くような豪華な顔ぶれだった。

 実況は吉田填一郎さん、 解説は雑誌「TOUCHDOWN」の後藤完夫さん、 ゲスト解説は、「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さん。 アシスタントは「ファーストダウンテーン」の掛け声が懐かしいタレントの菅原マリアさん。さらにスペシャルゲストとして、プロレスラーのザ・デストロイヤーさん、スタン・ハンセンさんも招いた。2人はカレッジフットボールで活躍した実績があった。

 増田隆生さん(元日本テレビ)が当時のことを語ってくれた。

「長嶋さんは23回、24回、25回大会と3度スーパーボウル中継のゲストとして出演されています。フットボールのことはよく勉強されていました。」

スーパーボウルではないが、長嶋さんがアメフトの体験取材でハードヒットを受けたこともあった。
「ミラージュボウルの取材でサザンメソジスト大(SMU)を訪れ、体験でQBをされた時です。スナップバックを受けて右にロールしてパスを投じようとしたときに横からタックルされてあばら骨にひびが入りました。相手が、サブの選手だったのですが、長嶋さんの動きを見て本気になってしまったと謝っていました。」という。

「第23回大会の放送席ゲストは、記事で名前が挙がった他に巨人のウォーレン・クロマティ選手、プロゴルファーのパティ・シーハン選手、リサ・ロッテ・ノイマン選手、またノーベル賞の江崎玲於奈先生もいらっしゃいました。全員、ハーフタイムの時だけの出演です。これもプロデューサーのハーフタイムの放送席を華やかに!という指示の結果です。皆さん、ノーギャラで喜んでいらっしゃいました。クロマティ選手は自分から出演させて欲しい、と連絡してきました。」という。

 日本で唯一のテレビ放送となった日本テレビとジータスは、今回、33年前の初放送以上の熱さで中継に取り組む。

 同局のスポーツ中継では初の「音声同時4チャンネル」を実施する。放送波では、「主音声+副音声」の音声2チャンネルを、さらに放送を補完するサービスとして、スマートフォンから聞ける追加音声2チャンネルの計4チャンネルでスーパーボウルを徹底的に掘り下げる。

 主音声は「初めて見る人にもにもわかりやすい実況」
解説は 森清之さん(東大ウオリアーズHC)、スペシャルゲストは「オードリー」の若林正恭さん、春日俊彰さん。秋山翔吾選手(MLBシンシナティ・レッズ)。実況は 安村直樹アナウンサー(日本テレビ)。
森清之さん(左)と安村直樹アナウンサー(右)=日本テレビ提供
 お笑い界のトップスター「オードリー」に加え、NFL大ファンの秋山翔吾選手(MLBシンシナティ・レッズ)が登場し、最高峰の野球選手から見たNFLの凄さをアメフト初心者にもわかりやすい内容で伝える。また大量に発生する現地CM中には、「オードリーのNFL倶楽部」での大人気のプレー解説コーナー「若林の熱視線」を解説の森さんとオードリー若林さんがリアルタイムで展開する。

 放送副音声は アメフト「マニア」向けハイスピード実況。
話せど話せど、情報が尽きることないマシンガン解説の村田斉潔さん(龍谷大シーホースHC)。実況は、自身も立命館大黄金期の名DBだった近藤祐司さん(スポーツアンカー)。

 専門用語が飛び交うマニア向け放送は、スポーツ専門チャンネルならではの、アメフト中継プロフェッショナルズによる徹底的な分析を楽しめるスーパーボウル中継となる。
村田斉潔さん(左)と近藤祐司さん(右)=日本テレビ提供
■モンタナマジックで逆転「彼は神様と人間の中間」 33年前のスーパーボウル

 33年前のスーパーボウルに登場したベンガルズは、ヘッドコーチ(HC)が、ノーハドルオフェンスの鬼才、サム・ワイチ。強肩クイックリリースのQBブーマー・アサイアソンが率いて、スーパーボウル優勝2度のサンフランシスコ・49ERSに挑んだ。

 試合は、ディフェンシブな好ゲームとなって16-13とベンガルズが3点リードのまま最終盤へ。残り3分余り、自陣8ヤードからのオフェンスを、49ERSのQBジョー・モンタナが、「ジョー・クール」の異名の通り、極めて冷静にハンドリングした。10プレーを積み重ねてベンガルズ陣10ヤードまで迫ると、仕上げはWRジョン・テイラーへの逆転TDパス。残り試合時間は34秒だった。

 92ヤード、11プレー、2分46秒のドライブ。「モンタナマジック」の真骨頂だった。

 今は全米で最も有名なTVコメンテーターの1人となった、クリス・コリンズワーズは、当時ベンガルズのWRだった。このスーパーボウルがラストゲーム。すべてが終わった後であまりにも有名な言葉を残す。

Joe Montana is not human. I don't want to call him a god, but he's definitely somewhere in between. 
「ジョー・モンタナは人間ではない。神様とは言いたくないが、その中間の存在であることは間違いない。」

 今回、そのコリンズワースが、名コンビのアナウンサー、アル・マイケルズと組んでスーパーボウルを中継するのも因縁だ。
第23回ウーパーボウルで、逆転TDパスを決めた49ERSのQBモンタナ

【小座野容斉】

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事