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2017-09-22

シコを力士だけのものにしておくのはもったいない。

3横綱と2大関、人気者の幕内宇良も休場した大相撲秋場所。
9月12日付の朝日新聞に気になる記事が載っていた。
休場力士が急増した理由の一つが、シコを踏む回数の減少だと指摘しているのだ。昔は巡業で土俵以外でも、空き地等に円を描いて土俵を作って稽古をしたが、いまは警備上の問題などからそれができない。力士が土の上でシコを踏む機会は限られて、体作りを筋トレに頼らざるをえなくなっているそうだ。記事にはこうある。「シコの『質』と『量』を高めることは、必ずけが防止につながる」。
9月11日に弊社から発売し、早くも反響を呼んでいる書籍『いまからでも遅くない 転ばぬ先のシコ』の著者、元・一ノ矢さん(元大相撲力士、現高砂部屋マネジャー)からも、シコが究極のトレーニングだと聞いていた。しかしシコの本質をどうとらえるかは人それぞれ。「今の力士たちは、シコを股関節のストレッチのような意味合いで行い、仕切りと混同させているような気がします」と一ノ矢さん。前かがみになったり、腰を深く下ろすことより、本来は腰の高さを変えずに構えを保ったまま、足を上下させることが大切という。また足を無理して高く上げすぎないことも大事だそうだ。全身をゆるませ、インナーマッスル(体の内側にある筋肉)に働きかけ、骨に刺激を与えることがシコの本質と説く。
そんなシコが健康のためにも大いに役立つことを伝えたのがこの本だ。モデルを務めていただいた89歳の福澤盛吉さんは、実際に毎日シコを踏んでその効果を実感している。79歳で新たな国民病といわれる脊柱管狭窄症を患い歩行困難になったが、術後のリハビリにシコを取り入れ、足腰の強化に成功。いまでは体のバランスが整って、血流もアップ。歩きが楽になっただけではなく、便秘や不整脈の改善にもつながったというのだ。

著者の元・一ノ矢さん(右)とモデルの福澤さん

シコを力士だけのものにしておくのはもったいない。本書では、椅子や壁を使ったシコのやり方を紹介しているので、だれでも安全にシコを踏むことができる。高齢者はもちろん、若い方でも運動不足や体力不足が気になる方にはおすすめ。男性でも女性でも足は高く上げる必要はなく、自分でできる範囲でほんの少し上げるだけでいいのだ。
一ノ矢さんは、本書の最後にこうも書いている。
「シコの本当の目的は何? 本質は? 意味を問わず、効果を求めず、ただひたすら踏み続ける。そうすることによって、自分の体の中からいろいろな可能性が引き出され、大地から、宇宙から、いろいろな力を授かる。だからこそこんなにシンプルで、奥深いのだと思います」
大地から授かる力。これは試してみない手はないだろう。

ハンディなサイズと大きめの文字が読みやすいと評判

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