77歳の名将と40歳のリーダーが話し合っていた。社会人アメリカンフットボール・Xリーグ第5節、アサヒビールシルバースター対アズワンブラックイーグルス戦(10月7日、富士通スタジアム川崎)のハーフタイム中でのことだ。
【アサヒビール vs アズワン】ハーフタイムに話し合う有馬HCと阿部監督=2018年10月7日 撮影 Yosei Kozano
10月というのに30度を超えたこの日、夏のような日差しを避け、スタンドの陰でシルバースターの有馬隼人ヘッドコーチ(HC)と阿部敏彰監督が2人だけで対話をしていた。観客席からも中継カメラからも見えない位置だ。そして、試合中のミーティングというよりは、何か別の空気を感じた筆者はレンズを向けた。いつもは快活で端正な有馬HCの顔に、この時は苦悩が浮かんでいた。
この試合、シルバースターは予想外の苦戦をした。アズワンは下位「バトル9」の中では堅固な実力はあるとはいえ、今季は名古屋サイクロンズにも敗れ、パナソニックインパルス戦では97失点の大敗をしていた。そのアズワン相手に28-22。後半追い上げられ辛うじて逃げ切ったものの、オフェンスの総獲得ヤードでは100ヤード以上、上回られた。
有馬HCは試合後「勝つことができてよかった。しかし、相手のオフェンスをなかなか切れなかった。得点されないドライブでも、こちらの陣内まで入り込まれていた」と話した。「もう少し、確実な試合運びをしなければならなかったとは思うが、その力が我々にないのが現状だ」と率直に力量の不足を認めた。
【アサヒビール vs アズワン】後半、アズワンに攻め込まれるシーンが続いたシルバースター=2018年10月7日 撮影 Yosei Kozano
ハーフタイムの阿部監督との話し合いは「いつものこと。前半を終え阿部さんの考えていることを教えてもらい、こちらがプレーの説明をする。提案を貰うこともある」という有馬HCだが、「今日は、確かに長かったかもしれないですね」と認めた。
【アサヒビール vs アズワン】名門シルバースターを率いて2年目の有馬HC=2018年10月7日 撮影 Yosei Kozano
10月21日、シルバースターは、富士通スタジアム川崎でLIXILディアーズと文字通り生き残りをかけて対戦する。
来季からの新トップリーグ「X1スーパー」に加入できるのは、今季のJXB(ジャパンXボウル)トーナメントに出場する8チーム。まずは、第6節までのレギュラーシーズンで9位となったチームが脱落する。7、8位のチームも11月第1週のワイルドカード(WC)で敗退した場合は、X1スーパーに残れない。
第5節までの結果、9位になる可能性はシルバースターのほか、LIXILディアーズ、アサヒ飲料チャレンジャーズの3チームに絞られた。いずれもライスボウルを制し日本一になったことがある名門チームだ。
シルバースターの視点から、JXBトーナメント進出条件を探ると以下のようになる。
例によって大変複雑だが、シルバースターからすれば、事態はシンプルだ。「ディアーズに勝つ」。それだけを念頭に置いてプレーすればよい。
シルバースターが最後に日本一になったのは1999年のシーズンだ。社会人決勝・東京スーパーボウルで対戦した相手が、鹿島ディアーズだった。第4クオーター残り20秒。エースQB金岡禧友からWR梶山龍誠への逆転TDパスで劇的な勝利をあげ、栄冠をつかんだ。2万4千人が詰めかけた東京ドームは沸き返った。
勝ち上がったシルバースターがライスボウルで対戦したのが、QB有馬隼人率いる関西学院大学ファイターズだった。シルバースターは攻守に関学大を圧倒し日本一に輝いた。
あれから19年。
ファンならずとも知るチーム理念をまっとうできるかどうかは、10月21日の戦いにかかっている。
【写真・文/小座野容斉】
【アサヒビール vs アズワン】ランプレーに出たシルバースターQB安藤だが、ほとんどゲインができず=2018年10月7日 撮影 Yosei Kozano
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