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2022-06-16

【ボクシング】ボディブローvs.フック&ストレートは決着つかず。三好喜美佳と藤原茜は三者三様のドロー

三好のボディブローと藤原の左フックが交錯

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 16日、東京・後楽園ホールで行われた日本女子フェザー級タイトルマッチ6回戦は、チャンピオンの三好喜美佳(38歳=川崎新田)と1位・藤原茜(34歳=ワタナベ)が59対55(三好)、58対56(藤原)、57対57の三者三様で引き分け。三好が初防衛に成功した。

文_本間 暁 写真_橋田ダワー

「やりづらかった。自分の良さを潰されました」。試合後の会見に臨んだ三好に笑顔はなかった。ポイントをリードされていると予想し、必死に追い上げを見せて辛くも追いついた形。疲労感よりも、勝ち切れなかったという思いが強かったのだろう。

 2月に自身が持つ王座を取り戻した三好に対し、挑戦者は2019年10月以来の試合。藤原は、リングの感触を確かめるように、緩やかに、動きすぎずサークリングを始めた。ややもすればスローテンポとも受け取れるもの。三好はそのペースに合わせて追いかけていくリズムになった。
 すると、藤原は一転してハンドスピードを速めた右フックから左をヒット。応援団の大きな拍手も相まって、強い印象を残した。

 2回に入ると、三好はやや右サイドから右フックを被せていく。これがクロス気味に決まり、藤原は左を容易に打ちづらくなった。だが、じりじりとステップバックして三好に入ってこさせ、その入り際に右から左、あるいはその逆のコンビネーションを合わせていく。
 すると三好は入るタイミングを変えて、ボディからの攻め落としを敢行。「(藤原の)堅いガードを敢えて叩いてリズムを作りたかった」と、顔面への連打をまとめ、上への意識を集中させて下を打った。

相打ち、あるいは先手後手が入れ替わる打ち合いは、甲乙つけがたかった
相打ち、あるいは先手後手が入れ替わる打ち合いは、甲乙つけがたかった

 藤原は、三好の打ち終わり、もしくはかわして右、あるいは左フックを再三ヒットさせた。その都度起きる大きな拍手は、三好の精神を揺さぶったかもしれない。
 三好との間合いを藤原がキープした──ともいえるが、三好が強引な接近戦を仕掛けなかったことも、挑戦者に幸いしたように思う。王者にはフィジカル頼りではない、しっかりとしたボクシングの確立、これが念頭にあったのだろう。

「トレーナーが新しく(笠康次郎氏に)なって、パンチを打ち抜くトレーニングを積んでいる」(新田渉世会長)そうで、その距離を保つというこだわりがあったのかもしれない。

白黒つかなかったものの、会場は大きな拍手で両者を讃えた
白黒つかなかったものの、会場は大きな拍手で両者を讃えた

 採点は非常に難しい印象。どちらの勝ちでもおかしくなく、ドローも当然あり。三者三様になったのも納得だ。

「2度負けている(東洋太平洋王者の)藤原芽子(ふじわら・わかこ=真正)さんと戦いたい」と三好。藤原茜との再戦を問われると、「やりづらかったのでやりたくない(笑)。でも、私が東洋を取り戻したり、もっと上のカテゴリーでだったら」と、決着戦についての思いを話した。31戦16勝(6KO)13敗2分。
 悔しい結果となった藤原は、顔面の防御同様、ボディブローも防げていれば、また違った結果を呼び込めただろう。無駄を削いだ足運び、三好を引きずり込んだテンポは味があった。7戦5勝(2KO)1敗1分。

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