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2020-08-05

プロボクシング試合観客制限緩和は継続審議

JBC(日本ボクシングコミッション)とJPBA(日本プロボクシング協会)による新型コロナウイルス対策連絡協議会が5日に行われた。感染拡大の中で再開になった興行、有観客興行で見られた課題について討議されている。

上写真=関東エリアで初の有観客試合は9日が最初になる

 7月に再開したボクシング興行だが、これまでは無観客試合が大半。東京では9日、立川で行われるカードが、初めての観客を入れての試合になる。プロモートする立場からすれば、現在、観客数を大きく制限されている状況から一歩踏み出したいところだが、制限緩和については継続審議になった。感染の状況を考えるなら、致し方ない判断だ。

 7月19日の沖縄と26日の愛知県刈谷市で開催された有観客試合、東京、中部、関西、九州などで行われた無観客試合で見られた問題点を洗いだし、さまざまに検討が重ねられた。たとえば、選手の間で問題意識が共有されておらず、計量後、試合までホテルなどで他者との接触を避けなければならないところを、買い物に出かけようとしたりと、そんなガイドライン違反が散見されたという。協議会では違反した選手、関係者については試合中止を通告することもあり得ると、強く警告している。

 観客を入れるにあたっての検温などウイルス感染対策の徹底を申し合わせている。検査や手続きでの、入場口での混雑を回避する対策をとることで意見はまとまっている。関西地区では初の有観客試合となる9日、大阪府枚方市の興行には警備員30人に加え、コロナ感染対策に特化した10人が配備されるとの報告もあった。これらの対策があっても、非常事態宣言など行政の方針が出されれば、中止になるリスクについても各ジムに納得してもらっているという。

 21日に予定されていたWBO世界フライ級王座決定戦が中止になったが、外国人選手の招聘が可能にならない限り、日本人同士の対戦でなければ、世界戦と言えども実施できないという認識も示している。

 試合運営の上でも、検討すべき題材が持ち上がった。現在は選手本人とチーフセコンドにPCR検査などを義務づけているが、チーフ以外のセコンドがリング内に入る可能性も考えられるとして、さらに検査対象を増やすことも考慮されている。さらに不要不急の外出、多人数での飲食の自粛なども徹底するよう要請している。

 これらの課題のクリアを盛り込んだ興行用ガイドラインは、第二版を準備中で、一両日中にスポーツ庁に提出する予定になっている。

 また、各地のジムでウイルス感染陽性者が見られていることについては、大阪府内の一ジムをのぞいては集団感染にいたっていないが、義務づけている検温、酸素フォワードの検査のほかににも検査項目を増やすことを要請している。プロのジムで練習したアマチュア選手の感染例も目立っているため、アマチュアボクシングを管轄している日本ボクシング連盟との窓口を設け、情報交換、協議を行っていく方針も明かされた。

 大量の対策が羅列された。新型コロナウイルス流行の長期化が懸念されており、プロボクシング界の取り組みが、さらなる厳しさを求められていくのも仕方ない。

写真◎山口裕朗

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