世界中が注目する、WBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)とのバンタム級3団体王座統一戦(4月25日・ラスベガス)が、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で延期となったWBAスーパー・IBF世界同級チャンピオン井上尚弥(大橋)。今日10日、27歳の誕生日を迎えた“世界が熱視線を浴びせる男”のコメントが、所属する大橋ジムから届けられた。
上写真=力みすぎず、抜きすぎず。尚弥の強さはメンタルコントロールの上手さにもある(※3月上旬撮影)
待望の一戦は3月中旬に延期決定となり、新型コロナウイルスの猛威が続く現況から、新たな期日ももちろん未定であるが、「いつ試合が決まってもいいように、最低限スキルを落とさないよう、6割程度で練習を進めています」(尚弥)
ラスベガスデビューを誰よりも楽しみにしていたのは井上尚弥自身のはず。だが、彼は気持ちをしっかりと切り替えて、調整を続けている。自身のSNSにアップした動画を見てもわかるとおり、変わらず「基礎トレーニング」に丹念に取り組んでいるのだろう。「ディフェンスと、より全体的な底上げ」を意識しているそうだ。
自宅があり、ジムもある神奈川県を含め、7日に7都府県で緊急事態宣言が出されたが、以前から「外出を控え、手洗いうがいを徹底的に」と対策には余念がない。自宅ではお子さんと遊んだり、映画を観たりして、「家族のストレスを溜めないように過ごしています」(尚弥)。
「一人ひとりが意識を変えていかないといけない状況」。尚弥も世界の危機的状況を憂慮しており、SNSでこのウイルスの恐ろしさを呼びかけ、意識や行動の在り方を唱えている。ボクサーである前に、一人の人間として、父親として。影響力のある男の言葉は、ズシリと響き渡る。
「プロデビューして8年が経ちますが、自分でも想像を超えるキャリアを築けています」と、これまで歩んできた道程を振り返るが、まだまだ志は半ば。思わぬ“横槍”に、スケジュール変更を余儀なくされた状況だが、それでも、「今年も驀進するのみ」と力強く言い切る。
われわれも、万全の対策をしてこの危機を乗り越え、井上尚弥のロケットダッシュを追走したい。
文_本間 暁 写真_山口裕朗
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