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2020-02-09

リゴンドーの超絶技巧派は健在。WBAバンタム級王座獲得

元世界王者同士による注目のWBA世界バンタム級王座決定戦は2月8日(日本時間9日)、アメリカ・ペンシルベニア州アレンタウンで行われ、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)がリボリオ・ソリス(ベネズエラ)に判定勝ちした。

上写真=リゴンドーの左ストレートがそリスの顔面に突き刺さる

 サウスポーのリゴンドーが安全策に徹してソリスを僅差判定で破り、WBAスーパー・IBFチャンピオンの井上尚弥(大橋)に対戦をアピールした。

 元スーパーバンタム級世界王者リゴンドー、現在39歳。日本でその技巧、感性を披露(天笠尚にTKO勝ち)してからもう5年以上が過ぎた。この年齢で階級を下げて2階級制覇に挑むのは異例だが、“118ポンドは私にとってベストの体重だ”と、計量でも調子の良さをうかがわせた。

 しかし、加齢には抗えない。立ち上がりにそリスの左フックで効かされて、打たれもろさを露呈したリゴンドーは、2回になると右ジャブを前に出して距離をとり、左カウンター狙いの安全策を徹底する。ソリスは追うものの牽制されてパンチは少なく、アクションの少ない展開に早くも会場は大ブーイング。

 しかし、リゴンドーはそんな騒音にまったく惑わされない。勝つための戦法を貫いた。打たれ強いソリスは粘り強く追い続ける。が、リゴンドーが唐突に狙う左はやはり厄介だった。7回にその左は炸裂する。左のアッパーから左3連打。ロープにもたれたソリスを追撃してリゴンドーがダウンを奪った。

 リゴンドーは10回にも左カウンターでソリスを千鳥足にさせた。が、ソリスは驚異のタフネスをみせる。リゴンドーは深追いせず、坦々と試合終了のゴングまで戦い切った。

 採点は115対112、116対111、112対115の2−1。リゴンドーは2回以降、68発のパンチを当て、ソリスは初回に28発、2回から12回までで31発しかヒットできなかった。

 世界2階級制覇者となったリゴンドーは22戦20勝(13KO)1敗1無効試合。「リボリオはいい選手だけど、当てる、ダウンを奪うチャンスはみえた」と、試合後も続くブーイングの中で語った。

 井上尚弥(大橋)が統一王者になってWBA王座が“スーパー”に昇格し、空いた“正規王座”を争う今回の決定戦。“ビッグネーム”リゴンドーは、これで井上の下位チャンピオンということになり、対戦希望をほのめかしている。「ファンは誰との試合を見たいのかな? 「118ポンド階級(バンタム級)の誰とでも戦う。これが自分の本来の階級だからね。さあ狩りに行こう」。

 敗れたソリスは38戦30勝(14KO)6敗1分1無効試合。「後ろに下がってばかりなのにどうしてポイントになるのか納得できない。再戦したい」という。日本で河野公平(ワタナベ)、亀田大毅(亀田=当時)らを下した元WBAスーパーフライ級王者ソリスは、2016年3月の山中慎介(帝拳)戦、ジェイミー・マクドネル(イギリス)に2度、とバンタム級に上げて計3度の世界挑戦に失敗し、今回は“4度目”の正直にかけていた。

文◎宮田有理子 写真◎Amanda Westcott/SHOWTIME

「ファンは誰との試合を見たいのかな?」。リゴンドーは対井上戦をひそかにアピール

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