WBO世界スーパーウェルター級王者ハイメ・ムンギア(メキシコ)は11日(日本時間12日)、アメリカ・テキサス州サンアントニオでミドル級転向戦を行い、11回TKO勝ち。不敗記録を35(28KO)に伸ばした。
写真上=TKO勝ちも内容的には不もの目立ったムンギア
23歳の若きエリート候補のミドル級参戦に大きな注目が集まった。カネロ・アルバレスやゲンナディ・ゴロフキンとの対戦を目指す村田諒太にとっても、ビッグマッチ実現がさまよった場合、このムンギアの名前が対戦者としてクローズアップされる可能性もありえないことではない。
そんなムンギアの戦いは、新階級での準備不足も疑わせるものだった。3ラウンドにロープに追い詰めたときには、逆に対戦者ゲリー・“スパイク”・オサリバン(アイルランド)の右カウンターを浴びでヒザを落としかける。4ラウンドには早くもスタミナロスの気配を見せたオサリバンにお付き合うように、攻め口は中途半端のまま。その後もおりおりに集中打をまとめてポイントこそ奪っていったが、踏み込みの甘い攻撃ばかり。6ラウンドにはコンビネーションのかなめ、左ボディブローをローブローに取られて減点された。
8ラウンド以降、ジャブをまともに浴び続けるオサリバンがいつ棄権するかわからないほどのワンサイドになっていくが、ムンギアはまだ煮え切らない。
やっと11ラウンド、ムンギアは強引な攻撃に打って出る。ノーガードのままの左右連打に打ち負け、オサリバンはふらふら。ロープを背に打ちまくられたところで、セコンドはタオルを投入したが、レフェリーは気づかない。その後の連打でアイルランド人が崩れ落ちたところで、ようやくストップがかかった。タイムが11回2分17秒だった。
ムンギアにとってはもっと鮮やかに勝ちたかった試合のはずだ。35歳のオサリバンはホープともてはやされた時期もあったが、ビー・ジョー・サンダース(イギリス)にフルマークに近い判定負け、クリス・ユーバンク・ジュニア(イギリス)にも歯が立たずにTKO負け。デビッド・レミュー(カナダ)には痛烈な初回KO負けを喫している。
伸びのいいパンチをボディ、顔面と上手に振る分けるあたり、ムンギアが質の高い素材であるのは間違いない。もっとも、ほとんどの攻撃に足の動きが伴っていなかったのも事実。新たな階級での戦いに自信を持って立ち向かえるのは次戦以降になる。
文◎宮崎正博 写真◎ゲッティ イメージズ
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