
圧巻の3回KOで、WBO世界フライ級王座の3度目の防衛を果たしたチャンピオン田中恒成(24歳=畑中)が1日、都内で一夜明け会見。浮ついた雰囲気を微塵も出さず「早く次の試合に向けて準備したい」と、欲求の強さを示した。
上写真=自らV3を示す三本指を出してくれた田中恒成。畑中会長(左)、父・斉トレーナーらTeam KOseiで“トップ・オブ・ザ・トップ”を目指す決意を披露した
かすり傷ひとつない顔が物語る。「ダメージ、何もないです」。こんなに綺麗な顔で試合を終えたのは、世界タイトルマッチでは初めてだろう。相手に打たせなかったことはもちろんだが、負傷を癒す時間をつくらなくて済むことが、きっと何よりも嬉しいに違いない。
映像を1度見て試合を振り返ったという田中恒成は、「いいところも悪いところもあった」と、傍から見れば完璧に思える試合を訥々と語る。
「ジャブのヒット率と、相手を攻めていくバリエーションの足りなさ」が反省点。「ボディブローをしっかり打ち込めた」のがよかった点なのだという。
そのボディブローを伏線にして、「結果的にそれがフェイントになったので、『あ、ボディ隠した』と思って、パッと切り替えられた。状況判断ができた」と、KOシーンには納得している。畑中清詞会長が「(ボディが来ると見せかけて)真ん中を開けさせとるんだよな」と、補足説明を加えた。
前戦までの会見と大きく違うのは、恒成自身が醸し出す雰囲気にある。試合を勝利で終えてホッとするという、ごく当たり前の、ほんわかとしたムードがまるでない。昨日は昨日で終わり。もう、今日からは新たな戦いに向けてスタートしている。その想いがじわりじわりと伝わってくるのだ。
自分に対してのご褒美は何かと訊ねられると、「いえ、ないです」とキッパリ。「早く次の試合に向けて準備したい」と続けた。無傷だからこそ、この瞬間をも無駄にしたくない。これまでの田中恒成とは、明らかに違う。内面で大変革が起こったことは明らかだった。
またひとつ、“芯”が太くなった!
「2020年は、強くなってひと皮剥きたい」。昨夕の試合直後にも語っていた言葉を、あらためて繰り返す。
「昨日の試合と、いままでの試合は、見ていただいたとおり、パフォーマンスが違う。昨日のを当たり前、最低ラインとして、もう一段上のレベルのパフォーマンスを出せる力を備えて、強い選手たちに挑んでいきたい。いまのレベルを超えていきたい」。ゾクゾクとさせられる言葉が、次から次へと繰り出される。そして、極めつけは「相手が誰であろうが、モチベーションが高い」というひと言。それこそが、“真の強者”の姿だから。
「2019年は、自分がまだまだ弱いなって感じることが多かった。だから、もっと力をつけて、誰でもどんな相手でも挑みたい。かかってこいって臨めるようになりたい」
紡ぎ出される言葉の一つひとつが、きらきらと輝きを放ちながら、スパッと突き刺さる。
2019年12月31日。新章スタートのゴングが打ち鳴らされた、歴史的な日と記憶しておきたい。
文&写真_本間 暁
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