23日に横浜アリーナで行われるトリプル世界戦の記者会見が、21日、東京・九段のホテルグランドパレスで行われた。イベントの核となるWBA世界ミドル級タイトルマッチで初防衛戦に臨む村田諒太(帝拳)ら出場する6選手は、そろって自信のコメントを残した。戦いまで最後の関門となる計量は明日、午後1時より行われる。
上写真=トリプル世界戦に出場する6選手勢ぞろい。左から寺地、ペタルコリン、村田、バトラー、ムザラネ、八重樫
勝負に挑むのだから、当然なのだが、出場6選手そのすべての言葉には、この戦いに備えてやってきたことへの手ごたえがみなぎっていた。
村田は前日の予備検診までとほぼ同じコメントを繰り返した。
「いい練習をやってきました。その成果がしっかりとリングで出せるかどうかが勝利へのカギになります」
前戦、7月にロブ・ブラント(アメリカ)からタイトルを取り戻した戦いは会心の出来だった。そのときのコンディションとの比較を聞かれても、自らの心に刻むように、勝負は結果がすべてと切り返す。
「比較するのは難しい。結果をもって、(この準備を)肯定するのも、否定されることもありえると思っています」
自分自身にも突きつけたこの一言は、村田の自信の深さを感じさせたもの。
挑戦者のスティーブン・バトラー(カナダ)は、全力を尽くすとだけ語る。
「自分の持つスキルとパワー、あるいは得手、不得手も含めて全部をリングで見せる。それがより良い結果につながると思う」
WBOの指名挑戦権を捨て、はるばる極東の地に出向いて戦うのだから、それだけ勝算に裏づけもあるのだろう。所属するゴールデンボーイ・プロモーションのマッチメーカー、ロベルト・ディアス氏はつけ加えた。
「バトラーを挑戦者に選んでくれたムラタ陣営に感謝する。結果としてムラタは、このクラスでもっとも危険な挑戦者を選んだことになる。それこそがムラタが真のチャンピオンであるという証拠なのだろう。観客が真の勝者になるような試合をして、バトラーが勝ち、新たな道を切り開くと信じている」
3階級制覇の元世界チャンピオン、八重樫東(大橋)の挑戦を受けるモルティ・ムザラネ(南アフリカ)は、いつものように小声でぼそぼそと語ったが、その言葉は鋭い。
「ヤエガシはかつてのチャンピオンだし、同世代でもある。敬意も払っているし、親近感もあるが、勝つのは私」
1歳年長のムザラネに挑む36歳の八重樫は2年半ぶりの世界戦となる。
「久しぶりの世界戦なので、こういった行事を楽しんでいます。試合では今あるすべてをぶつける心境です。最後にレフェリーに手を上げられるのは自分だと信じています」
7度目の防衛戦を迎える寺地拳四朗(BMB)はIBF王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が、アルバラードの病気で流れ、さらに右利きの相手からサウスポーのランディ・ペタルコリン(フィリピン)と対戦者が代わったわけだが、それもどこ吹く風と余裕の風情。
それよりも、今回からリングネームの頭に本名が加わったことを強調する。「『ケン・シロウ』から『テラジ・ケンシロウ』になって、新しい名前をアピールしたい」。目標の連続防衛13度(元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏が持つ日本記録)更新への折り返し地点になるのだが、それもさして意識していない様子だ。
「(V13は)とくに何も感じていないです。いつものようにパンチを当てさせないで、自分のパンチを当てたい。そしてカウンターで倒したいですね」
4年前に所持していた暫定世界チャンピオンから正規の世界タイトリストになる2度目のチャンスが転がり込んできたペタルコリンも健闘を誓った。
「(いきなりの世界戦決定は)問題ない。(寺地は)スタイリッシュなボクサーだし、パンチを当てにくいかもしれないが、最後は自分が勝つと信じている」
また、このイベントには4階級制覇の世界的スーパースター、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がスーパーフライ級1ポンドオーバー契約(116ポンド)の8回戦に出場する(相手はディオネル・ディオコス=フィリピン)。2017年に思わぬ連敗を喫してWBC世界スーパーフライ級王座を失って以来、昨年1年ぶりにカムバック。その後、故障でまた空白を作り、これが1年3ヵ月ぶりの試合になる。また、日本のリングに登場するのも5年ぶりのことだ。
「この試合のために4ヵ月も準備してきた。ブランクは問題ない。日本は私にとって第二の故郷。神に授かった私の才能をお見せする」
23日、横浜アリーナのカードはどれもこれも見逃せない。
文◎宮崎正博
写真◎本間暁
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