大劣勢のチャンピオンが、起死回生の逆転KO勝ち──。21日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック・フライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの阪下優友(28歳=角海老宝石)が、挑戦者6位の望月直樹(25歳=横浜光)の巧みな距離感に翻弄されてポイントロス。しかし10回に右強打を決めて、この回1分KO勝ち。王座の初防衛に成功した。
上写真=ワンチャンスを逃さない! 阪下は望月を右強打2発で仕留めた
9ラウンドを終わった時点でのスコアは、87対84が二者と、88対83でいずれも望月がリードしていた。が、これ以上に挑戦者が試合を支配し、チャンピオンが劣勢だった印象。それゆえ、最後のラウンドとなった10回の一瞬は、あまりに劇的だった。
長いリーチを活かし、ブインブインと伸びるように放つ阪下の左右フック。その右が望月の顔面を捉えると、挑戦者はガクリとその場に落ちかけた。そこへ追撃の右がフォローされると、チャレンジャーの体はキャンバスに崩れゆく──。
驚くことに、立ち上がった望月だが、杉山利夫レフェリーは、望月の目とふらつきを確認し、カウントを10まで数えて試合終了を宣告したのだった。
2016年12月、両者はフライ級8回戦で拳を交え、このときは80対73、79対73、79対74と、望月がほぼフルマークの完勝を収めている。
今回の第2戦で敗者となった望月は、「今回の試合もあのときとほぼ同じ展開で進んでいた」と振り返る。
出入り、サークリング。抜群の距離感で、阪下を翻弄していた望月は、「カネロ、カネロと自分に言い聞かせて動いていた」という。6ラウンドまでは、ほぼ完璧に、見事に実演していたのだが……
初回、強いワンツーで打ちかかった望月は、ガードを固めて動きの少ない阪下をいいように打ちまくった。ススっとステップインし、サッとバックステップ。左右へのサークリングは、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)を思わせる流麗さ。阪下は早々に左目周りを腫れさせ、ポイントを奪われ続けた。4ラウンドまでは、ほとんどパンチらしいパンチを返さず、コンディション不良を感じさせる精彩のなさだった。
しかし、5回から阪下はようやく手数を出し始める。が、いったん定まってしまったリズム、ペースはそう簡単には変えられない。望月はすいすいと動き続け、阪下の上下左右に強弱をつけたブローを叩き込み続けた。
阪下の洪東植(ホン・ドンシク)トレーナーは語る。
「4回までは相手に打たせて動かして、疲れさせる作戦だった。勝負は後半。けれども、阪下の足が中盤になっても動かないので困った」
対する望月の石井一太郎会長。
「やりたいようにできて、いいペースで来ていた。けれど、唯一心配だったのは、中盤になって望月の体のバランスが少し乱れていたことでした」
相打ちにかかる両者。スピードで勝っていたのは望月だったが、阪下の伸びるパンチと威力は、それまでの空気の変化を予感させるものだった
流れが変わり始めたのは7ラウンドだった。阪下の伸びのあるスイングが繰り出される。8回には望月も相打ちを狙い、まだ勝っていた。しかし、一撃のパワー差は明白で、ほんのりと阪下側には光が、望月側には影がちらつき始めた。9ラウンド終盤、阪下はようやくエンジンがかかり始め、そしてラストシーンへと突入していく──。
結果的に、阪下側の作戦はハマったかたちだ。けれども、望月の動きが予想以上に落ちなかったことが想定外だったと振り返る。それは、リズムを与え、望月を気持ちよく動かしてしまったことも一因だろう。望月に強打があれば完全に危険だった。また、反撃がなさすぎるシーンも、海外のレフェリーならば止められる可能性もあった。実にリスキーな戦い方だったが、しかし勝負強さには脱帽するしかない。
左ストレートを繰り出す永田。半身に構え、バランスを保つ。前後の速い動きでアオキの強打をかわす
セミファイナルで行われた『チャンピオンカーニバル最強挑戦者決定戦』は、日本スーパーライト級2位の永田大士(29歳=三迫)が、同級1位のアオキ クリスチャーノ(30歳=角海老宝石)に、サウスポースタイルからの左ストレート、返しの右フックを次々と決めていきペースを掌握。強打を持つアオキも右ストレートから左フックを返していくが、反撃が遅かった。77対75が二者、79対73の3-0で永田が勝利を手に入れた。
打ち気にはやり、ボディアタックまがいのバランスの乱れが悪い癖だった永田だが、この日はしっかりと我慢してバランスを保ち、右ジャブ、左ストレートをベースに戦い続けたことが奏功した。
なお、このクラスのチャンピオンは井上浩樹(大橋)。井上は12月2日にWBOアジアパシフィック同級王座決定戦に、日本王座を保持したまま臨む。
文_本間 暁
写真_菊田義久
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