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2022-12-16

【箱根駅伝の一番星】日体大で躍進中の山崎丞「箱根で目立ちたい」ルーキーが伝統校に勢いをもたらす

山崎丞(日体大1年)

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。75年連続75回目の出場となる日体大は、16名のエントリー中、1年生が3人とルーキーに勢いがある。4年生が風通しを良しくしてくれたチームでのびのびと力をつけ、箱根駅伝予選会でチーム3位となった山崎丞もその一人。箱根駅伝ではテレビにたくさん映りたい。持ち前の素直さで、伝統校を明るく照らす。

10000mでエースに次ぐタイムをマーク

新しい日体大を象徴するような1年生と言ってもいいかもしれない。箱根駅伝の予選会でチーム内3位と好走した山崎丞は、いざ本番へ胸を弾ませていた。

「僕、正直に言うと、目立ちたがり屋なんです(笑)。箱根で1位、2位を争っているとずっとテレビに映りますよね。テレビにたくさん映って、地元(新潟・糸魚川)の人たちに『すごいね』と言われたくて」

快活に笑う19歳の表情は、生き生きとしている。愛嬌があり、憎めない性格のせいだけではない。校風として質実剛健で上下関係が厳しいイメージがあったものの、今年度からは雰囲気はガラリと変わっている。4年生の盛本聖也キャプテンを中心に改革に着手。1年生たちの仕事の負担を減らし、より競技に集中しやすい環境をつくっているのだ。学年に関係なく、活発にコミュニケーションを図り、根強く残っていた体育会の気質を刷新した。

風通しが良い環境でのびのびと練習に励む元気いっぱいのルーキーは、しっかり期待に応えている。11月27日の日体大競技会では、10000mで28分38秒33と自己ベストを56秒更新。レース後半もペースを落とすことなく、持ち味のスピードを存分に生かし、余裕を持って組トップでフィニッシュした。エースの藤本珠輝(4年)に次ぐタイムを叩き出し、玉城良二監督からも高く評価され、高校時代から憧れてきた箱根へ向けて、大きな弾みをつけた。本人の希望は1区、2区ではあるが、チーム内では5区の有力候補となっており、意欲をのぞかせる。

「上りの技術は高校時代から磨いてきました。玉城監督に信頼してもらっているので、自分で良ければ『行きます』という感じです。本音を言えば、上り続けるのはそこまで得意ではないのですが、区間一ケタ順位では走りたい。具体的なイメージもできています」

勢いに乗っている男に怖いものはない。頭の中は不安よりも楽しみが占めているという。

「当たって砕けろの精神ですね。挑戦していく気持ちが大事。“かまして”やろうと思っています。5区の日体大記録(1時間12分49秒、小町昌矢・2018年)は更新したい」

もちろん、10度の総合優勝を誇る伝統あるタスキの重さは理解している。2013年1月に、前年度19位から箱根を制覇した歴史も知っている。5区で区間賞を獲得した服部翔大(現・日立物流)の強さは、映像で見て再確認した。

「僕も本気でいつかは優勝したいと思っています。僕らの学年の目標にしているんです。同期の平島龍斗、田島駿介(共に箱根のエントリーメンバー入り)たちと切磋琢磨し、もっと強くなっていきます。1年目からも目立つ走りを見せます」

驚くような結果を残し、初めての箱根で「山崎丞」の名前を大きくアピールすることを誓っていた。



やまざき・たすく◎2003年4月29日、新潟県生まれ。164cm・52kg、AB型。糸魚川中→中越高・新潟。中越高3年時の都大路は1区19位。同年、U20日本選手権クロカンで7位入賞し、日体大入学後はU20日本選手権3000m5位。初ハーフとなった箱根駅伝予選会では1時間04分05秒で個人60位。11月の日体大競技会で10000m28分38秒33をマークし、箱根に向けて上り調子。自己ベストは5000m14分03秒77(2021年)、10000m28分38秒33(22年)。

文/杉園昌之 写真/桜井ひとし、井出秀人

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