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2019-08-03

【ボクシング】井上岳志がKOで再起 世界を知って「余裕ができた」

3日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック・スーパーウェルター級王座決定戦12回戦は、同級1位の井上岳志(ワールドスポーツ)が4位のコムセン・ポーンサン(タイ)に2回2分24秒KO勝ちし、2度目の同王座獲得を果たした。

写真上=井上は左ボディでコムセンを沈めた

1月、アメリカ・ヒューストンでWBO世界王者ハイメ・ムンギア(メキシコ)に挑み、判定で敗れた井上。31戦全勝26KOを誇る強打の王者を相手に、最後まで前進を続けた闘志とタフネスは称賛されたが、下された採点は大差だった。

「あの戦い方では、世界戦レベルでポイントは取れない」ーー。そう痛感した井上がこの再起戦で自らに課したのは「ジャブ、ストレートを使い、離れて戦うこと」。テーマどおり、これまでの密着しての連打は封印し、ジャブを多用したニュースタイルを披露した。

それでもチャンスをつかんだら逃がさない。2回、右アッパーを決めて相手のダメージを見極めると、一気にロープに追い込んで強烈な左フックを脇腹へ。たまらず倒れ込んだコムセンは、あっさりテンカウントを聞いた。

WBOアジアパシフィックのベルトを再び手にした井上

「再起戦で緊張したし、いい倒し方をしなければと、プレッシャーもあった」と、ホッとした表情を見せた井上。重圧を乗り越えて結果を出せたのは、世界戦の得がたい経験があったから、という。

「相手と向き合ったときに余裕が出てきた。周りの雰囲気とかも、全部感じ取れるようになったし、前のめりにならなくなった」

人間的にも一回り大きくなって、井上は再び中量級の世界戦線に身を投じていく覚悟を示した。

文◉藤木邦昭
写真◉馬場高志

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