9日、東京・後楽園ホールで行われた東洋太平洋ミドル級王座決定戦12回戦は、3位の細川チャーリー忍(金子)と9位の太尊康輝(角海老宝石)がドロー。新チャンピオンは生まれなかった。
写真上=激しく打ち合うチャーリー(左)と太尊
下された判定はジャッジ1者が115対114で太尊としたものの、残る2者は114対114。規定の2票に達せず、勝負はつかなかった。
チャーリーが11勝10KO(4敗1分)、太尊が14勝12KO(3敗3分)と、ともに高いKO率を誇るが、この夜繰り広げられたのは一進一退のペース争いだった。チャーリーが低い姿勢から飛び込み上下に連打を仕掛ければ、長身のサウスポー太尊は重量感あるパンチで迎え撃つ。積極性と回転力でチャーリー、精度と威力で太尊という対照的な戦闘スタイルはジャッジの間でも見解が分かれ、割れるラウンドが続いた。
8回を終えて公開された採点は三者三様。続く9、10回は太尊が左ストレート、アッパーを有効に決めたが、ラスト2ラウンドはチャーリーが渾身のラッシュで太尊をロープに追い詰めた。

決着つかず。ともに再戦を希望した
「勝ったと思う。一発当ててはしのいでいく作戦は遂行できた」と太尊。1年半前にこの王座を手放した後、大阪から上京して角海老宝石ジムに移籍。長いブランクを越えてリングに戻ってきた強打者は「これを肥やしにチャンピオンにならないと。こっちに来て、いい環境を与えられて、僕にはチャンピオンになる義務がある」と再びの挑戦を誓った。
一方、2月に大阪で失った王座の奪回に失敗したチャーリーは「悔しいが、これがボクシング。常にKOを狙っているので判定は仕方ないと思うが、効いたパンチはない」と話し、陣営は太尊が繰り返したクリンチを非難。早急な再戦を望んだ。

文◉藤木邦昭
写真◉小河原友信
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