【ボクシング】小原と田中がダブルメイン 今夜ホールで再起戦＆初防衛戦

13日、東京・後楽園ホールでゴングとなる『ダイヤモンドグローブ』はダブルメインイベント。その前日計量が12日、日本ボクシングコミッション（JBC）で行われ、ウェルター級10回戦に出場するIBF世界ウェルター級12位の小原佳太（三迫）は200gアンダーの66.4kg、ジョスマル・ケフィ（インドネシア）は600gアンダーの66.0kgで、日本ミニマム級タイトルマッチに臨む王者の田中教仁（三迫）はリミットの47.6kg、挑戦者８位の春口直也（橋口）は300gアンダーの47.3kgで、それぞれクリアした。

写真上＝揃って勝利を誓う小原（左）と田中

小原佳太は３ヵ月弱でカムバック

小原（32歳／20勝18KO4敗1分）は３月30日、２度目の世界挑戦を懸けて、アメリカ・フィラデルフィアでIBF指名挑戦者決定戦に臨んだものの、アマキャリア豊富で全勝（15勝９KO）を誇った25歳の巧者クドラティロ・アブドガハロフ（ウズベキスタン）の牙城を崩せず０ー３の判定で敗れた。それ以来、３ヵ月弱の短いスパンで臨む再起戦となるが、そうそうチャンスの巡ってこない世界的に層の厚い階級。気持ちの切り替えには時間を要した。

現在の国内中量級第一人者のひとりは「やるなら、うだうだしていられない年齢」と、まだ再起を迷っていた2ヵ月ほど前、志願してジムに試合を決めてもらい、「動きながら、考えてきた」という。この間、前戦を踏まえ、「堅いボクシングに変えようとして、うまくいかないこともあった」というが、「自分のやるボクシングとは違うことに気づいて。自分の長所を伸ばして、今までの自信を取り戻す方向に変えてから、頭がスッキリした」と再起までの経緯を語る。試行錯誤の末、自身の目指すべきボクシングがはっきりし、あらためて「僕の目標は世界」と気持ちが固まったのは、ここ２週間のことだったという。

対戦相手のケフィ（30歳／18勝11KO10敗）は過去日本で4戦4敗全KO負け。もう一度、世界戦線に復帰する第一歩として「格の違いを見せつける」試合とテーマを課した。

「頑張る相手ではあると思うけど、もらわずに圧倒し、最後はしっかり倒して、もう日本には来たくないと言わせたい」

田中教仁はリベンジ懸けたＶ１戦

１月12日、小野心（ワタナベ）に８回TKO勝ちで王座に就いた田中（34歳／18勝10KO７敗）は、これが初防衛戦となる。春口とは一昨年5月、ノンタイトル戦で拳を交えて以来、２年ぶりの再戦。そのときは僅差０ー２判定で敗れているものの、敵地・鹿児島で行われた一戦では、３ラウンドに田中が２度倒し、さらに連打でヒザを着かせながら、スリップの裁定に泣かされた。初防衛、因縁の相手への雪辱と、力の入る要素がそろうが、田中はしっかり心を整えてきた。

試合前、最後のスパーリングは内容こそ悪くなかったというが、「いいところを見せてやろうとか、自分の理想どおりにできると思い込んでいるところが出て。納得いかなかった」と振り返る。「だから、（初防衛戦は）足もとをすくわれるんじゃないか」と気づかされ、その２日後には“最後のスパーリング”をやり直し、「精神的にも仕上がった」と自信を示す。

「マイナスな気持ちではリングに上がりたくない。今は負けたことに対する“仕返し”という気持ちはひとつもないし、自分が倒しているからっていうおごりもない」

それでも一昨年２月、５年３ヵ月ぶり復帰以降の全試合でダウンを奪っている強打者は「判定には任せてられない。どっちみち自分はぶっ倒すだけ。向こうもきっと命を懸けてぶっ倒しにくるだろうから、それを全力で叩きつぶす」と力を込めた。

一方の春口（29歳／15勝６KO10敗）も「２年前は自分がはっきり勝ったわけではない」と前回の対戦を受け止めている。デビューから足かけ７年２ヵ月で迎える初のタイトル挑戦になるが、「決着をつけた延長上にベルトがあると思っている」と落ち着いて心境を語った。

田中戦以降は２勝３敗と負けが先行しており、現在２連敗中。だが、元WBO世界ミニマム級王者の福原辰弥（本田フィットネス）、この３月に全勝ホープの小浦翼（E&Jカシアス）を破り、東洋太平洋同級王者となったリト・ダンテ（フィリピン）など、国内、フィリピンの強豪と手合わせし、「いい経験になっている」という自負がある。

パートナー不足は九州の力を結集して解消。鹿児島から熊本、福岡、大分と出向き、福原、元世界ランカーの榮拓海（折尾）らと精力的にスパーリングを重ねてきた。こちらも「今回はアウェーなので、倒して勝つつもり」と意気込む。春口が勝利すれば、鹿児島のジムから初の王者誕生となる。

文・写真◎船橋真二郎