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2019-05-16

【ボクシング】井上尚弥「自分のスタイルを貫きたい」 ──WBSS記者会見──

18日(日本時間19日)、イギリス・グラスゴーのSSEハイドロで開催の『WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)準決勝』に臨む4選手が15日、同地のクラウン・プラザで合同記者会見。WBA世界バンタム級チャンピオン井上尚弥(26歳=大橋)、IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26歳=プエルトリコ)、IBF世界スーパーライト級王者イバン・バランチク(26歳=ベラルーシ)、同級3位ジョシュ・テイラー(28歳=イギリス)が、各々自信のほどを披露した。

上写真=大会をプロモートするニッセ・ザワーランド氏を挟んだ井上尚弥とロドリゲス

 各国のメディアが駆けつけ、緊迫感みなぎる会見場だったが、司会者のひと言が、一瞬ほんわかとしたムードをつくりあげた。

「コンニチワ! グラスゴーエヨウコソ!」
 これを受けた井上は、「こんにちは!」と日本語と笑顔で挨拶。そして、KO率88%への期待を問われると、「もちろんKOを狙うけれど、ロドリゲスも素晴らしい選手なので、リングに上がって向かい合って、試合の中でKOを狙うチャンスをうかがいたい」と返す。

「自分のボクシングを貫きたい」と井上。それができれば、ふたたび全世界をアッと驚かせるだろう

 みなさんが思っているような簡単な試合ではない。
これは一貫して言い続けていること。しかし、現地でも“モンスター”の驚異のパフォーマンスは浸透済みで、「ああいう試合を2試合続けたので、期待されるのは重々承知の上、ここまで来た」と、そのプレッシャーを力に変える、井上尚弥らしいテンションのつくり方をしている。それは言葉の端々、振る舞いに感じられた。

 現地では父・真吾さんがトレーナーを務めていることも興味があるようで、
「息子さんをトレーニングするのはどういう気持ちですか? 難しい? 簡単?」と質問が飛んだ。
 これに対し、真吾トレーナーが、「いろいろと複雑な想いもありますが、最強を目指して、尚弥が強くなることだけを考えてトレーニングしている。難しいことはないですが、簡単なことでもないですね」と語ると、場内はドッと沸き、思わず尚弥からも笑みがこぼれた。

「(息子をトレーニングさせることは)難しくはないが、簡単でもない」と真吾トレーナー。会場を和やかにしたひと言だった

 対するロドリゲスは「とても興奮している。このトーナメントに参加していることを誇りに思う。
ナオヤのことは、ずっと前から意識していたので対戦できることを嬉しく思う。ナオヤはとても強いが、私が勝ってプエルトリコに帰る」と自信のコメント。しかし、ここまで日本のメディアの取材はすべて拒否していることからも、かなりナーバスになっていることは明白で、今日の表情からもそれは強く感じられた。

壇上に上がったのは総勢9人。バランチクには、あの名トレーナー、フレディ・ローチ氏がつく

「無敗同士(井上17勝15KO、ロドリゲス19勝12KO)の対戦で、カルロス・サラテ対アルフォンソ・サモラ(ともにメキシコ)、サラテ対ウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)に匹敵する試合」と大橋秀行会長。「ものすごい技術戦になることは間違いない。けれど、尚弥の状態がさらに上り調子でケガもないので、緊張感よりもワクワク感が優っている」と、大橋会長も必死に興奮を抑えている様子だ。

 決戦まであと3日。われわれも、興奮をグッと抑えて当日を待ちたい。

文&写真_本間 暁
Text & Photos by Akira Homma

同国で大人気を集めるテイラー(左端)がバランチクに挑むスーパーライト級戦も注目。右端はローチ氏

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