5月4日(日本時間5月5日)、アメリカ・カリフォルニア州ストックトンでIBF世界スーパーフライ級チャンピオン、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に挑むIBF同級1位、船井龍一(ワタナべ)が2日、トリプルヘッダー登場の選手たちとともに最終会見に臨んだ。
上写真=準備は整った! 精悍な表情のチャレンジャー船井
檀上に並び、マイクを持ったまま待つ。
地元ストックトン出身のライト級、昨日19歳になったガブリエル・フローレス・ジュニアの誕生祝、地元団体からの祝辞が次々と続く。船井の出番が来るまで10分ほどはあったかと思う。司会のクリスティナ・ポンシャーがやっと、ふたつの世界タイトルマッチを紹介、リュウイチ・フナイの方を見る。「通訳の方にお願いするまえに、リュウイチ、あなた自身が英語で言いたいことがあるのですよね?」、振りを受けて船井がマイクを握り直した。
「I thank to Top Rank, あと、Watanabe Promotion. I am happy to be….. fight in U.S.A. and fight to famous champion. Thank you」
拍手がわき、「ベリーグッド! アリガト」とクリスティナも日本語で応じた。
長い待ち時間、カタカナで書いて覚えたスピーチを、頭の中で繰り返していたのだという。
「日本タイトルを獲った後から、いつか世界戦をするぞと、スピードラーニングをやってたんですけど、あれあんまり覚えられなくて、やめちゃったんですけど」。
15年を経て、しかしついに、その舞台にたどりついた。アメリカで、世界戦。ふたつの夢に王手をかけた。
「こっちに来たらいろいろ行事とか忙しいんだろうな、と想定していましたし、1年前は、想像もしていなかった世界なので、楽しいです」
動じず、でも柔軟に状況を受け止められる33歳。築き上げてきた38戦31勝(22KO)7敗のすべてが、夢をかなえる力になる。
挑むチャンピオン、アンカハスは7度目の防衛戦となる。「フナイに敬意を表します。フナイと戦うために調整をしてきた」と、落ち着いた表情で語った。33戦30勝(20KO)2敗1分の27歳。攻撃重視でKOを量産してきたが、やはり研究されてきたのか、この一年はおとなしい。前戦は小柄なアレハンドロ・バリオス(メキシコ)と引き分け。連勝が17で止まっている。しかし、打ってよし離れてよしの万能型。高い壁には違いない。
8年にわたり船井をみてきた高橋智明トレーナーは、「叩き上げが、ずっと心に秘めてきたものを爆発させる時が来ました。アンカハスがどう出てくるかではなく、自分たちがどう行くかを考えています。狙うのは、KO勝ちのみ。判定はぜんぜん考えていません」と決意を語った。
興行は、現地午後3時半スタート。アンカハス対船井の試合はテレビファイトのオープナーとなり、午後7時(日本時間午前11時)開始の予定。地元期待のフローレスはエドゥアルド・ペレイラ(ブラジル)とライト級6回戦。IBF世界ライトヘビー級タイトルマッチ、王者アルトゥール・ベテルビエフ(ロシア)対同級13位のラディボエ・カライジッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の一戦と続く。
文&写真_宮田有理子
Text & Photos by Yuriko Miyata
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