『第40回チャンピオンカーニバル』の日本タイトルマッチが21日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で、ダブルで開催。ウェルター級戦は、ダウン応酬の大熱戦の末、挑戦者1位の永野祐樹(29歳=帝拳)が、チャンピオン矢田良太(29歳=グリーンツダ)を7回1分9秒TKOで下し、新王者に。スーパーフライ級戦は、王者・奥本貴之(27歳=グリーンツダ)が、挑戦者1位のユータ松尾(29歳=ワールドスポーツ)を手数で上回り、95対95、96対94、97対93の2-0判定で勝利。2度目の防衛に成功した。
上写真=永野は左ストレートを立て続けにヒットして、主導権を握った
矢田の一発強打か、永野の的確な左ストレートか。両者、全ラウンドにわたって、足を止めてのやるかやられるかの勝負を演じきった。当然、場内は大興奮。攻守の入れ替わりが激しく、カーニバル中、屈指のスリリングな展開が続いた。
試合開始から、サウスポースタイルの永野が左ストレートで主導権を握っていく。「サウスポーは苦手」と公言してはばからない矢田は、その言葉どおり、立ち位置や距離を把握できない様子で、挑戦者の左を何度も何度も食い続けた。
しかし、“浪速のターミネーター”の異名を持つ矢田は、食っても食っても気持ちを折らず、永野の隙を窺って、迫力のある左右フックを振るう。間合いをつかめない矢田は、そのほとんどを空振りしてしまうのだが、時折捉える左フックは、永野の動きを一瞬止めてしまうほど。しかし、その勢いのままロープを背負わせる矢田は、“その次”を打ち込めない。永野の頭の上を流れ、逆に挑戦者が回り込んで回避して、連打を打ち込むという展開になった。
そして3ラウンド。中間距離から打ち込んだ永野の左ストレートがピシャリ。尻もちをついた矢田はダメージ濃厚だったが、ここはゴングに救われた。
続く4ラウンドは、まさにジェットコースターのような展開となった。永野は左左左と、執拗に左に固執した。しかし、これだけ左が続くとさすがの矢田も反応する。右フックを決めて、逆に詰めていくシーンを築く。が、永野の左アッパーカットが炸裂し、今度は矢田が腰砕けに。しかし、永野の追撃の左ストレートをかわした矢田の右フックがカウンターとなり、永野がグローブをキャンバスに着いてしまった。
それでも永野は左にこだわった。右目周りの腫れが目立ってきた矢田は、ロープを背負って永野を誘い、左フックのカウンターに勝負を賭ける。手数もクリーンヒット数も永野が大きく上回ってきたが、矢田の気迫のこもった一撃は、永野の動きを止めるもの。勝敗の趨勢は、いよいよわからなくなった。
しかし7ラウンド、永野が一瞬の間を突いて右フックをヒット。さらに左右の連打を見舞うと、矢田の体は直立し硬直した。ここですかさず近藤謙一レフェリーがストップした。
「必死すぎて内容を憶えていない。勝った実感がないけど、いまここにベルトがあるということは勝ったんだなという感じ」と新チャンピオン永野。それほど疲労とダメージのあった、ギリギリの勝負だったということだ。
そして敗れた矢田。
「1日10時間以上練習してきて、それでも勝てなかった。いますぐに、明日からまた頑張りますとは言えない。ただたんに、相手が強かったということです」と、殊勝に振る舞った。
永野の戦績は18戦16勝(12KO)2敗。矢田の戦績は23戦18勝(15KO)5敗。
スーパーフライ級戦は、挑戦者・松尾が左フックを引っかけながらジリジリと間合いを詰めて王者・奥本を追っていく展開。奥本は、細かい動きを入れながら、アウトボックスを展開しようとしたが、前半は松尾のヒット数が目を惹いた。
5ラウンドには松尾の右で奥本の左目上がザックリと切れ、大量出血。このまま松尾が追い込んでいくかと思われたが、奥本は松尾の堅いガードの上からでも、連打を何度も放っていった。
奥本の足は、回を追うごとにどんどん加速。手数でも見栄えでも奥本の印象が徐々に上回っていった。
ヒットした数では、松尾のほうが上だったかもしれないが、奥本は少しずつ芯を外して、まともには食らわない。足をベースにしたクイックな上体の動きが功を奏した。松尾の詰めを切るクリンチワークも老獪だった。
奥本の戦績は32戦21勝(10KO)7敗4分。松尾の戦績は20戦15勝(8KO)4敗1分。
文_本間 暁 写真_早浪章弘
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