15日、東京・後楽園ホールで行われたウェルター級8回戦は、日本同級4位の別府優樹(28歳=久留米櫛間)が、フィリピン・スーパーライト級6位のサウスポー、ジェイソン・エゲラ(34歳)に77対75、78対74、79対73の3-0判定勝利。これまでの勝利はすべてKOだった(18勝18KO1敗1分)別府だが、初めてのポイント決着となった。
上写真=倒せなかった別府だが、目指す方向性は間違っていない。可能性を感じさせるフルラウンドだった
“九州のタイソン”の異名を持つ別府がKOどころかダウンすら奪えない。会場からは、「タイソンの名前を返上しろ!」など痛烈なヤジが飛んだ。櫛間昭会長も、「練習したことがまったく出ていない。このままでは、チャンピオンになんかなれない」と、厳しい言葉を投げた。
しかし、別府の変化は評価してよいと思う。
昨年10月の前戦で、現1位の永野祐樹(帝拳)と『日本王座挑戦者決定戦』を行い、ダウンを奪われた末に判定負け。初黒星を喫したが、それまでは力技のKOに囚われ気味で、パワーボクシング偏重が目についていた。
けれども、元々アマチュアキャリアもある別府は、櫛間会長とともに、自らのボクシングを見つめ直したのだろう。
「コンビネーションを打ち込んでいくスタイル」(別府)を徹底的に磨いてきたのだという。
立ち上がりから、柔軟に動き、かつてのフック系ブローではなく、ストレート系パンチを多く打ち込んだ。どっしりと構え、力の入ったスイングでなぎ倒してきた自分とははっきりと決別した。そんな気構えは伝わってきた。
だが、「どうしても最初のコンビネーションで力んでしまった」(別府)ため、打ち終わりが疎かになり、かつモーションを読まれ、そこに左を合わされる。タメをつくってカウンターを取ろうとすれば、それも読まれて逆に右フックをカウンターされる場面もあった。
柔らかいボディワークから、フェイントも交えてコンビネーションを放つ。打ったら相手のサイドや後ろに回り込み、そしてそこから追撃を放つ。日本の重量級選手では、なかなかお目にかかれない芸当もチラチラと披露した。ステップに意識がいきすぎ、ウェイトの乗ったパンチを打ち込めず、フィニッシュに持ち込むことはできなかったが、それはまた次の段階。時間をかけて、じっくりと熟成させれば、きっと花開くはずである。
21日(日)、エディオンアリーナ大阪第2競技場で、日本王者・矢田良太(グリーンツダ)に、前出の永野が挑戦する。日本ユース王者で、「最強」の呼び声も高いアフガニスタン出身のクドゥラ金子(本多)も控えている。
「負けている永野選手と戦いたい。引き分けているチャーリー選手(チャールズ・ベラミー=横浜光)とも」と別府。
2019年、日本ウェルター級は熱くなりそうだ。
文_本間 暁 Text by Akira Homma
写真_小河原友信 Photos by Tomonobu Ogawara
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