WBAスーパー、WBO世界ライト級チャンピオンのワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が4月12日、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのステイプルズセンターで、元WBA同級王者で現在1位にランクされるアンソニー・クローラ(イギリス)を相手に防衛戦を行い、4回58秒KO勝ちを収めた。WBAスーパー王座は2度目、WBO王座は3度目の防衛に成功。
上写真=ロマチェンコは、相変わらずの巧さに加え、強さも存分にアピールした
すでに世界3階級制覇、パウンドフォーパウンド最強との評価を勝ちとっている精密なスピードスターは、やはり強すぎる。元WBA王者の好漢クローラは、まったく手も足も出なかった。
立ち上がりからの無言の圧力と高速コンビネーションで、戦意はあらかた削がれてしまったのだろう。クローラを易々とロープ際まで下がらせ、左右あらゆる角度のパンチを自在に組み合わせて上下を打つ。3回終盤には青コーナーで畳みかけ、ジャック・リース主審は“ロープダウン”をコールする。ロープがなければダウンをしていた、とみなしてカウントを数える“ロープダウン”だが、現在のルールでは適用されないはずで、これを“レフェリーストップ”だと思ったロマチェンコはコーナーポストに上がって勝利をアピール。インスペクターもリング内へ。
しかしまだ試合は続いていた。試合再開後すぐにラウンド終了のゴングが鳴り、試合は4回へ。ラウンド開始時、ロマチェンコがクローラにグローブタッチを求めたのは、“勝利”を早合点したことを詫びるためか、それとも、これが最終ラウンドだ、というサインだったのか……。
最強王者の詰めは凄まじかった。最後は左ショートから素早くつないだ右フック。見事にテンプルを叩いたこの一撃で前のめりにフロアに突っ伏したクローラを見て、主審はすぐにカウントを止め、試合終了を宣言した。
ロマチェンコはこれで14戦13勝(10KO)1敗。アメリカ最大手トップランク社の敏腕ボブ・アラム氏の下、オリンピック2連覇の至宝としてデビュー当時からずば抜けた才能を示してきたウクライナ人は、人気も着実に伸ばしている。昨年は世界3階級制覇者ホルヘ・リナレス(ベネズエラ/帝拳)とのWBAスーパー、WBO王座統一戦で、ニューヨークの殿堂マディソン・スクエア・ガーデンの大アリーナを盛り上げ、今回は3階をクローズしたものの稼働率全米一を誇る大会場ステイプルズセンターを10101人で埋め、ファンの大歓声に迎えられた。
試合後、ロマチェンコは今後について、「いつも言っているとおり、統一戦をやりたい。できる限り今の135ポンド階級にとどまり、王座を統一していきたい」と希望を語っている。試合後の記者会見では、WBC1位のルーク・キャンベル(イギリス)、アマチュア時代に破っている現WBCスーパーライト級王者ホセ・ラミレス(アメリカ)らとの対戦の可能性を問われ、「もちろん私はOKだ。ライト級で戦えるなら、私は常に最強の相手とやりたい」と答えた。
が、ファンが待望する世界4階級制覇者マイキー・ガルシア(アメリカ)とのマッチアップについては、「それはむこう次第」と慎重で、アラム氏も「いま147ポンドで戦っているマイキーが、再びライト級に戻せるかどうか。それはたいへんに難しいことだと思っている」と言うとおり、否定的な様子だ。ロマチェンコ自身は、リナレス戦後に手術した右肩がすっかり癒え、「ドクターに感謝したい。両方の腕が自由に使えるのはいいね」と絶好調。無敵時代はどこまで続くのだろう。
リナレスにWBA王座を奪われてから2年半、返り咲きに失敗したクローラは、44戦34勝(13KO)7敗3分。「体以上に傷ついたのは、全力を尽くしたかった私のプライドだ……。彼の強さは驚異的だ。頭を打たれてフロアに落ちて、意識はあったのに立ち上がることができなかった。彼はとにかく特別だ。一発として無駄なパンチがない」と脱帽した。
右肩の傷も癒え、ふたたび驀進しそうな気配の“ハイテク”ロマチェンコ。誰が彼を止められるのか!?
このセミファイナルでは、WBOスーパーミドル級チャンピオンのヒルベルト・ラミレス(メキシコ)がトミー・カーペンシー(アメリカ)とのライトヘビー級10回戦を、4回終了KOで終わらせている。
サウスポー対決。ラミレスは持ち前の正確なコンビネーションで初回のうちにカーペンシーの左眉間を切り裂いた。カーペンシーの左を被弾する場面もあり、ラミレスもなかなか畳みかけに行けなかったが、こつこつヒットを重ね、4回終了後のインターバルでカーペンシー陣営が白旗をあげた。
ラミレスは戦績は40戦全勝26KO。カーペンシーは37戦29勝(18KO)7敗1分。
取材&文_宮田有理子 Text by Yuriko Miyata
Photos by Mikey Williams / Top Rank
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