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2019-02-15

【ボクシング】痛みをこらえて放った右 勅使河原がアクシデント乗り越えV1

写真上=入口を左で攻める勅使河原
写真◎佐藤伸亮

 東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオン勅使河原弘晶(輪島功一スポーツ)は14日、東京・後楽園ホールで7位の入口裕貴(エスペランサ)とタイトルマッチ12回戦を行い、8回1分56秒TKO勝ちで初防衛に成功した。

 WBOアジアパシフィック・バンタム級に続く2本目のベルトを奪って乗りに乗るチャンピオンが、初回早々アクシデントに見舞われた。最大の頼りとする右の拳を痛めたのだ。2回には痛みをこらえて猛攻を仕掛けるが詰めきれず、以後はほとんど左一本での戦いを強いられた。

「今までどれだけ右に頼ってきたんだと、みじめな気持ちになった」という勅使河原。だが「これも神様が与えてくれた試練」と自分に言い聞かせ、角度に変化をつけた左を突き続ける。2回から鼻血にまみれた入口も強い気持ちで立ち向かい、鋭い右で斬り込んで勅使河原をたじろがせた。

輪島功一会長と試合を振り返る勅使河原
写真◎ボクシング・マガジン

 それでもパワーの差は歴然。8回、ダメージの深い入口に、勅使河原は「痛い!って思いながら、歯を食いしばって」渾身の右を叩きつけ、連打でストップに持ち込んだ。「いい選手でした。ありがとうと言いたい」と入口の健闘を称えた勅使河原だが、続けて「今日の試合では次、世界なんて言えない」と反省。1ヵ月前には井上尚弥にスパーリングで「ボコボコにされて」傷心状態に陥ったとも明かした。

「次は一番強い日本人とやります。世界という言葉を口にするのは、それに勝ってから」。勅使河原は茨の道を進んでいく覚悟を示した。

取材◎藤木邦昭

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