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2018-12-31

【ボクシング】伊藤V1、拓真戴冠、拳四朗V5 トリプル世界タイトルマッチは日本選手全勝!

上写真=凱旋防衛に成功し、喜色満面の伊藤 写真_福地和男

日本人選手は3戦全勝!──。30日、東京・大田区総合体育館で行われたトリプルタイトルマッチは、先陣を切った拳四朗(BMB)が7位のサウル・フアレス(メキシコ)にほぼフルマークの3-0判定勝利でWBC世界ライトフライ級王座のV5に成功。井上拓真(大橋)はペッチ・CPフレッシュマート(タイ)を3-0判定で退け、WBC世界バンタム級暫定王座を獲得。トリの伊藤雅雪(伴流)は、1位のエフゲニー・シュプラコフ(ロシア)をボディブローで効かせて7回2分11秒TKO勝ちで、初防衛に成功した。

★WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
○拳四朗(BMB)【判定3-0(119対109×2、120対108)】●サウル・フアレス(メキシコ)

空振りも多かった拳四朗だが、間合いの取り方は相変わらず絶妙。文句なしの完勝でV5を飾った 写真_福地和男

 拳四朗は抜群の距離感。フアレスはメキシカン特有のボディワークでお互いに防御技術の高さを見せたが、王者・拳四朗は左ジャブ、フアレスの入り際に放つ右アッパーカット、右クロスで徐々にリードを広げていった。しかし、フアレスの粘りに遭って、世界タイトルマッチ4連続KOはならず。

傷ひとつない顔で、控え室での会見に臨んだ拳四朗 写真_船橋真二郎

「(フアレスは)常に頭の位置を変える上手い選手だった。ジャブが当たらず。相手に合わせすぎた。距離的にはここ最近ですごく成長できたと思うけど、今日はちょっとうまくいかなかった」(拳四朗)

フアレスは潔く完敗を認めた 写真_杉園昌之

「力不足だった。ケンシロウの右ストレートは強かった。彼の左ジャブが試合をリードしていました」(フアレス)

★WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦
○井上拓真(大橋)【判定3-0(117対111×3)】●ペッチ・CPフレッシュマート(タイ)

拓真は全般的にカウンター狙いで“受け”のボクシングが目立った 写真_福地和男

 初回、右ストレートから左フックを決めてチャンスをつかんだ井上は、一気にラッシュを仕掛けたが詰め切れず。2回には偶然のバッティングで鼻を痛め、ペッチは左目上をカットし出血。両者ドクターチェックを受ける。序盤の“不測の事態”に落ち着かないボクシングが続いたが、井上は引いてカウンター狙いにシフト。ペッチの左ストレートを外して左フック、そして右と決めてポイントを奪っていった。中盤以降、ペッチの左ストレート、アッパーカットをボディに受けたものの、ロープを背にして誘い、回り込んで連打するパターンを再三。ジャッジ三者とも6ポイント差をつけて井上の勝利を支持した。

左から兄・尚弥、母・美穂さん、拓真、姉・晴香さん、父・真吾トレーナー。井上家念願の兄弟世界チャンピオンが実現した 写真_福地和男

「初回はいいのが当たったので、行きすぎてしまった。鼻もめっちゃ痛かった。でも、途中から戦い方を変えることができたのがよかった。けれど、課題はたくさん。それにこれはまだ暫定。こんな内容じゃ、ナオ(尚弥)に並んだって言えない」(井上)

左から右、右から左と頻繁にスイッチを繰り返したが、ペッチは初の海外ファイトで初黒星を喫した
写真_杉園昌之

「非常に楽しく試合をできた。イノウエはいい選手。とても巧かった。でも、逃げるのも上手かった。1ラウンドにいきなり攻め込まれたのには驚いた」(ペッチ)

★WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
○伊藤雅雪(伴流)【TKO7回2分11秒】●エフゲニー・チュプラコフ(ロシア)

右アッパーカットをボディに差し込んだ伊藤。ここから一気にストップへ持っていった 写真_福地和男

 序盤、挑戦者が頭から入ってきての接近戦を試み、伊藤が手を出せばクリンチ、ホールドと、荒れた展開が続いた。接近戦にも強くなった伊藤は、それにも付き合っていたが、徐々に左ジャブで下がらせて、距離を築くボクシングに移行。7回に右アッパーをボディに入れて効かせると、ロープを背負わせてラッシュ。挑戦者側から棄権の意思を示すタオルが投げ込まれ、TKOに持ち込んだ。

凱旋試合をKOで飾り、会場の観客に向かって喜びを表す伊藤 写真_福地和男

「ベルトを巻いている姿をみなさんに見せることができて嬉しいです。来年は強い相手とやりたい。誰でもやります! 僕には一撃必殺のパンチはない。井上尚弥選手のようなスペシャルな存在ではない。でも僕にはハートがあります。僕にしかできないことをやります!」(伊藤)

チュプラコフは、立ったまま会見に臨んだ 写真_本間 暁

「日本人選手と戦えたことはよかった。けれど、試合内容には納得できない。陣営と立てたプランを実行できなかったことが納得できない。詳しくは言えないが、もっと違う展開にするつもりだった。接近戦を続けるつもりだったが、ラウンドが進むにつれて、距離を取らざるをえなくなってしまった」(チュプラコフ)

取材_船橋真二郎、本間 暁、杉園昌之

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