上写真=右アッパーカットから右打ち下ろしで稲垣をダウンさせたバレンタインは、後先考えないラッシュで初回ストップ勝利 写真_佐藤伸亮
1日、東京・後楽園ホールで行われた日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンの細川バレンタイン(角海老宝石)が、10位の挑戦者、稲垣孝(フラッシュ赤羽)を初回2分56秒TKOで破って、2度目の防衛に成功した。
37歳の細川、33歳にしてこれが40戦目の稲垣とベテラン同士の対決となったが、勢いの差は段違いだった。細川は挑戦者の大柄な体を持て余すことなく、流れをにじり寄せる。そして初回終盤、「練習してきた」というショートパンチ、アッパーカットから右クロスをねじ込んでダウンを奪う。立ち上がったものの、すでにダメージ深い稲垣は、細川の追撃に ロープまで後退してあたふたするばかり。ここで杉山利夫レフェリーが両者の間に割って入った。
「スタミナには自信がありました。10ラウンド戦っても大丈夫。でも、ダウンを奪って、その直後のラッシュでストップしたのは、12年間(ボクシングを)やってきて初めて。今まではワンパンチKOだったり、せっかくダウンを奪っても、その後のスタミナを気にして攻め切れなかったりと、そんなのばかり。とにかく嬉しい。今日はしゃべらせて下さい」
控え室の細川は会心防衛に大はしゃぎ。さらにリング上のインタビューで残した“名演説”も印象的だ。次戦はチャンピオンカーニバルで、12戦全勝10KOの新鋭、井上浩樹(大橋)との対戦と話題が及んだときのこと。
「予想では不利なのは分かっています。ただ、日本タイトルを獲ったのも、防衛できたのも僕にはどっちも奇跡でした。祖父母に育てられた子供のころ、祖父からは『一石二鳥』と言われ、祖母からは『二兎追う者は一兎をも得ず』と言われ、どっちなんやと思いました。でも、『2度あることは3度ある』で今度はいきます」
ほとばしる自信が、細川をさらに能弁にさせた。
文_宮崎正博
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