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2018-11-23

【ボクシング】ウェルター級に現れた超新星 クドゥラ金子が元王者・有川を撃沈

写真上=クドゥラは3回、得意の左フックで有川を沈めた
写真◉山口高明

スター誕生の予感──。22日、東京・後楽園ホールで行われたウェルター級8回戦は、日本ユース同級チャンピオンで、同級13位のクドゥラ金子(本多)が、これが復帰戦となる前日本同級チャンピオンの有川稔男(川島)を鮮烈の3回1分44秒TKO。アフガニスタン出身の20歳は一躍、スターダムにのし上がっていきそうだ。

評判どおりの強さだった

 噂どおりの強さだった。「クドゥラの強さはヤバい」──。スパーリングで手合わせした選手たちが、そろって舌を巻き、喧伝していた。それが、前王者・有川との強打者対決で一気にお披露目だ。初回から、ジャブでペースを握ろうとする有川に対し、ステップとスウェーバックで対応。そして有川の右ストレートを見切り、左フックをカウンター。有川は思わず尻もちを着いてしまう。「相手のパンチはよく見えていた」とクドゥラ。初回から、有川を飲み込んでしまう落ち着きぶりだった。

 このままではまずいと、一気にギアを上げたのは有川だった。2回、左フックを上下に散らしてペース挽回を図るが、クドゥラは接近戦の巧さも見せて、ラウンド終了間際には、有川をコーナーに詰めて乱打した。

 3回が始まると、クドゥラは力みを抜いて、体のプレスと軽打で有川を下がらせる。「力を抜いたパンチを多く使って、相手の空いたところを狙うつもりだった」。ただの強打者ではなく、冷静さと賢さを持つ選手だ。そうして弱から強へ──。右強打から有川にロープを背負わせたクドゥラは、振り出しは小さく、打ち抜く左フックを炸裂。前王者は真下に落下する衝撃のダウン。レフェリーが試合を止めた。

アフガニスタンに学校を建てたい

本多会長(左)、金子トレーナー(右)と大きな夢を追うクドゥラ
写真◉山口高明

 中学1年で父、母、弟とともに来日し、15歳でボクシングを開始。「世界チャンピオンになってお金をたくさん稼いで、アフガニスタンに学校を建てたい」というのが夢。そして、その夢は同時に創立50周年を越えた本多ジムにとっても大いなる悲願だ。

 9月に亡くなった本多石次郎・先代会長、子息の正孝会長、そして金子実チーフトレーナーたちが長年描いてきたものだ。

 まずはジム初の日本チャンピオンへ。「ヤダと戦いたい」とクドゥラはにっこり。現チャンピオンで、“浪速のターミネーター”のニックネームを持つ矢田良太(グリーンツダ)との対戦を熱望する。矢田は12月9日にV2戦(対藤中周作=金子)を予定しているが、クドゥラとの激突は、2019年大注目の1戦となる。

取材◉本間 暁

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