※上写真=ロンドン五輪ミドル級決勝で村田と接戦を演じたファルカン(右)。プロに入って、村田との再戦を熱望している Photo/Getty Images
10月20日(日本時間21日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのパーク・シアターで行われるWBA世界ミドル級タイトルマッチは、前座から期待のカードが並ぶ。ロンドン五輪ミドル級金メダリストでもある村田諒太(帝拳)を含めれば、なんと5人ものオリンピック・メダリストが登場する。しかも、「因縁の」という前置き付きが2例もある。
まずはこの日の主役、村田に激しく対戦を迫っているエスキバ・ファルカン(ブラジル)が10回戦に出場する。プロ転向後21連勝(15KO)ながら、これといった相手からの勝ち星がないファルカンと戦うのはアルゼンチンの中堅ギド・ニコラス・ピット。強打のエクトール・サルディビア(アルゼンチン)やザウルベク・バイサングロフ(ロシア)にも倒されなかったタフガイだ。ロンドン五輪決勝でクロスファイトを演じた“因縁”を激しくアピールし続けるファルカンとしては、豪快に倒す以外に選択肢はない。
もう一つの注目は、フェザー級のマイケル・コンラン(アイルランド)とウラディミール・ニキティン(ロシア)が同じリングに立つこと。ロンドンに続きリオでも連続してメダルを狙ったコンランが、準々決勝で不運な判定で敗れた相手がニキティンだ。シャツを脱ぎ、中指を立てて判定に猛抗議したコンランだが、五輪組織委員会からはお咎めなし。一方、傷だらけになりながらも勝ち残ったニキティンはそのまま準決勝を棄権。銅メダルに甘んじた。
昨年春、華やかにプロに転じ、これが9戦目(8勝5KO)となるコンランは元イタリア ・チャンピオンのニコラ・シポレッタと8回戦。2戦目のニキティンはクレイ・バーンズ(アメリカ)との6回戦になる。
また、リオ五輪ライトウェルター級金メダリストのファズルディン・ガイブナザロフ(ウズベキスタン)も出場。ここまで5戦(全勝2KO)ながらも評価の定まらないガイブナザロフが、23歳にしてキャリア30戦を超えるウィルバース・ロペス(アメリカ)とどう戦うのか。
五輪とは無縁ながらセミファイナルも楽しみ。マクシム・ダダチェフ(ロシア)は注目のワンパンチ・フィニッシャー。暫定ながらも元世界ライト級王者のダルレイス・ペレス(コロンビア)を前戦でTKOして11戦全勝10KO。やや動きは硬いが、左フックの破壊力は爆発的だ。そのダダチェフと対するのはメキシコのサウスポー、アントニオ・デマルコ。7年前、ホルヘ・リナレス(帝拳)との流血戦の末に、逆転TKO勝ちしてWBC世界ライト級チャンピオンになっている。デマルコに往時の切れ味が残っていれば、面白い試合になる。
文_宮崎正博
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